「報道の後押しが大きく、20年以上進まなかった事態が好転した」と朝岡さん。土地や建物の所有者が建物を解体し、ことし9月初めには更地になったという。近隣住民は「何十年もごみをため込んでいたはず。一体何トンあったのだろうか」と振り返った。
「ごみ」だけでなく、建物などが跡形も無くなった現場=2022年11月、静岡市駿河区新川(画像の一部を加工しています)
静岡市は住宅敷地内にごみをため込む「ごみ屋敷」の解消や防止に向け、2023年4月の条例施行を目指している。一般的には「正常」と言い難い生活環境に陥ってしまった「人への支援」に重点を置きつつ、強制力のある調査を行うことができるようにする。
朝岡さんは「退去してくれたことはうれしいが、ごみ屋敷がどこか別の場所に移動するだけでは新たな犠牲者が出るだけ。実効性のある条例に期待したい」と話す。
■市内には十数軒存在か 条例案は11月議会で審議
電子レンジや金属、プラスチック類などが路上に積まれた現場=2022年11月、静岡市葵区
静岡市内には他にもいわゆる「ごみ屋敷」が存在する。市廃棄物対策課によると、把握しているだけでも市内に十数軒あるという。
葵区内の1軒を訪ねた。
家の周りに電子レンジや金属片、プラスチック類などが積まれている。近隣住民によると、少なくとも10年以上前から状況は変わらず、風の強い日は物が飛んでくることもあるという。
付近の住民は「広い道路ではないので車のすれ違いがしづらい。いつ崩れてきてもおかしくはないし、子どもの登下校が心配」と不安がる。
条例がない現状では、市の対応は「住人に対しお願いベースで片付けへの協力を求めている」(同課)にとどまっている。
同課の担当者は「条例制定により、具体的な対応にどう変化があるかは答えづらいが、支援対象が自らの意思で片付けるように促すのが基本姿勢。そのためのアプローチの方法も構築していきたい」と話す。市は関連する条例案を24日に開会する市議会11月定例会に提案する見込みだ。
〈2022.11.09 あなたの静岡新聞〉
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