10月20日、「SDGsミライテラス」の第7回「ごみは厄介者か?」がオンラインで開催されました。世界で増え続けるごみを減らすにはどうすれば良いのか。国内外の三つ事例から考えました。
(SDGsミライテラスのサイトはこちら)
2050年に年34億㌧ 人口増と都市化でごみ増加
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世界で出される都市のごみは年間で推定20億㌧。世界銀行によると、このままの状況が続けば、2050年までに34億㌧にまで増えると推定されています。
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日本のリサイクル率はEU諸国と比較して低い水準です。最大の理由は、日本が焼却中心のごみ処理をしているからとされています。リサイクル率を上げ、ごみの焼却量を減らすには、どうすれば良いのでしょうか。
90年代末から循環型まちづくり 鹿児島大崎町
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鹿児島県の東部に位置する大崎町では、一次産業が盛んで約1万2千人が生活しています。リサイクル率は全国平均(19.9%)を大きく上回る約80%で、リサイクル率日本一を通算14回達成しています。
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少しでも長く埋め立て最終処分場を使うため、ごみを減らす取り組みが1990年代末から始まりました。町全体のごみの6割以上を占める草木・生ごみを自然の土着菌の力を利用して堆肥(たいひ)にしたり、地元住民が27品目のごみ分別をしたりしています。
カブトムシで食料不足に挑む TOMUSHI
双子で株式会社TOMUSHI(秋田県大館市)を運営する石田健佑さんは、カブトムシを使ってごみの削減、食料不足の解決に取り組んでいます。
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石田さんは、シイタケなどのキノコの収穫後にでる廃菌床や畜産動物の糞尿(ふんにょう)、生ごみなどの廃棄物から作ったエサを使って、カブトムシを低コストで大量生産することに成功しました。カブトムシはタンパク質の含有量が畜産動物の3倍以上ありながら、環境負荷は畜産動物の10分の1以下です。
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人口が増加し、タンパク質の需要が増えることが予想される中で、石田さんは「(カブトムシは)非常に環境にやさしいタンパク源。ごみとタンパク質の二つの問題をカブトムシの力で解決したい」と語ります。
伊藤忠 ドバイに世界最大級のごみ処理発電施設
最後は、アラブ首長国連邦・ドバイ近郊の事例を紹介しましょう。現在のドバイで出されるごみは、一部を除いてほとんどが処理されず、最終処分場に埋め立てられています。
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ドバイの市街地近郊にある最終処分場は、「ごみ山」のようになっていて、十分に分別されていないごみから悪臭が漂い、無数の海鳥が生ごみをついばんでいます。一方、日本のごみ処理は、収集された可燃ごみの80%以上を燃やしてから最終処分場に埋め立てています。 そこで、日本の技術を生かして、現地で世界最大級のごみ処理発電施設の建設が進んでいます。2024年に稼働する予定で、ドバイの約45%のごみを焼却処理することができ、ごみの減容が期待できます。また、公衆衛生の改善、メタンガスの削減に加え、焼却時に発生する熱から200㍋ワットの発電が可能となっています。
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ドバイ政府は民間事業者と連携して、ごみ処理の改善を目指しています。ドバイ政府がごみを収集・運搬し、民間施設がごみ処理・発電を行います。発電で得られた電気をドバイ政府が買い取る予定になっています。
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参加者から、「ドバイのごみ処理は今後、どのように進化させていったら良いと考えますか?」という質問が寄せられました。伊藤忠商事でごみ処理発電施設の建設に携わる田中雄さんは「この施設に届くごみは、分別されていないことが予想されます。理想としては、リサイクルできるものは、すべてリサイクルし、難しいものだけを焼却処理すること」と話しました。
この日は登壇者同士の質疑も交わされました。株式会社TOMUSHIの石田さんからの「鹿児島県大崎町のように堆肥にしてごみ処理できないのか?」という質問に対し、田中さんは「すべてリサイクルできることが一番好ましい。しかし、ドバイのほぼ分別されていないままごみが埋め立てられている。その現状を鑑みると、焼却処理のステップを挟むことには意味がある」と話しました。
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次回は11/17 「フードロスの先へ」
「SDGsミライテラス」は今後も月に1度、ゲストを招きSDGsの展開について多角的に考察します。次回は11月17日(木)18時から。テーマは「フードロスの先へ」。ロシアのウクライナ侵攻を機に世界的に食料問題が注目を集めています。食べられるのに捨てられてしまう食品ロスに私たちはどう対処すべきなのでしょうか。日本女子大の小林富雄教授が課題を指摘します。
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食品廃棄率0.2%のオイシックス・ラ・大地からは東海林園子執行役員が出演するほか、伊藤忠商事のフードデータビジネスも紹介します。参加無料です。ミライテラスの特設サイトからの申し込みが必要です。お申し込み頂いた方は1週間程度、見逃し視聴できます。
からの記事と詳細 ( 増える世界の都市ごみ どう向き合う? 筑波大学新聞の学生記者が取材 | 朝日新聞 2030 SDGs - 2030 SDGsで変える )
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