生ごみの分別回収を端緒に、食と農、環境を一体的に考える循環のまちづくりを進めた福岡県大木町。一つの到達点が2008年の「もったいない宣言」だ。01年の実証実験開始から、ぶれることのない住民の合意形成が基盤となった。
テーブルの上に大皿料理が、ずらりと並ぶ。野菜の切れ端や皮などを用いた「もったいないかき揚げ」なんてメニューもある。
大木町の地産地消レストラン「デリ&ビュッフェくるるん」。イタリアン風のアレンジでデザートも充実していて、おしゃれな店内はいつも大にぎわいだ。
食材の8割は町内産の農作物。回収した生ごみなどを液肥化して農家に還元、そこで育てられた野菜などが再び地元の食卓に上る-そんな取り組みが「見える化」された現場でもある。
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「小さなスプーンやフォークはともかく、大きな石やダンベル、金づちまで生ごみに入っていた」。循環のまちづくり研究所代表、中村修さん(62)が述懐する。大木町より一足早く03年に生ごみ分別回収を始めた、北海道滝川市の循環施設を視察した時の驚きだ。
原因は、生ごみの回収法にあると思われた。多くの家庭は生ごみを新聞紙などにくるみ、レジ袋などに入れた上で指定の収集袋で出していた。今では分別は定着しているが、当時は中身が見えないことで「何でもあり」状態になり、異物が施設の機械を傷める事故も起きていた。
大木町のモデル地区でも同様のやり方で試行したら、異物混入が少なくない。そこで家庭の水切りバケツで1度ため、収集地点に置いた大きなたるで回収する現在の方式にした。
液肥の成分分析や、慣行農法と液肥で育てた作物の比較実験、できるだけ臭いが気にならない工夫…。町は5年かけ、課題を一つ一つクリアした。
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仕組みは整った。だが単に「環境に良いから、とにかく協力を」では理解は得られないし、長続きもしない。住民が納得して確実に生ごみを分別し、農家は喜んで液肥を使う。入り口と出口がつながらなければ、循環の輪は回らない。
それを支えたのが、町側が住民と膝を突き合わせて行う説明会。町内49の行政区を対象に、計画段階や実施前など節目節目で、情報を包み隠さず伝え、要請があれば再度話し合って疑問や不安の解消に努めた。
「単なるごみの捨て方の説明会ではなく、まちづくり勉強会という位置付け。住民の方が意識が高いと感じることも多かった」。環境課職員として奔走した境公雄町長(62)は当時を振り返る。
06年、生ごみとし尿を併せて処理して液肥化する施設「おおき循環センター・くるるん」が全面稼働。05年度に2951トンあった可燃ごみは、07年度には1618トンとほぼ半減した。
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地球温暖化による気候変動は、100年後の人類の存在を脅かすほど深刻さを増しています。その原因が人間の活動や大量に資源を消費する社会にあることは明らかです。
私たちは、無駄の多い暮し方を見直し、これ以上子どもたちに「つけ」を残さない町を創(つく)ることを決意し「大木町もったいない宣言(ゼロウエイスト宣言)」をここに公表します。
08年3月、同町議会の議場に、石川潤一町長(当時)の声が響き渡った。同趣旨の宣言は徳島県上勝町に次ぎ全国2例目だった。
1、先人の暮らしの知恵に学び「もったいない」の心を育て、無駄のない町の暮らしを創造します。
2、もともとは貴重な資源である「ごみ」の再資源化を進め、2016年度までに、「ごみ」の焼却・埋立て処分をしない町を目指します。
3、大木町は、地球上の小さな小さな町ではありますが、地球の一員としての志を持ち、同じ志を持つ世界中の人々と手をつなぎ、持続可能なまちづくりを進めます。
以上、宣言します。
「こんな宣言をした町が誇らしかったし、もっと私たちも頑張らねばと思った」。長年、地元で活動していた環境団体「あーすくらぶ」の荒木フサエさん(72)は改めてそう語る。
“迷惑施設”扱いされかねない「くるるん」を町の中心部に建設。4年後、その隣に地産地消レストランを含む「道の駅おおき」を開設したのも決意の表れだった。その精神を次の世代にどう伝えていくか、次回(26日)紹介し、大木町からの報告を締めくくる。(佐藤弘)
【ゼロウエイスト】 ウエイストは無駄や浪費の意味。出た廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを出さないで済むよう社会の仕組み自体を変えていこうという考え方。
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February 11, 2020 at 11:11PM
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「もったいない宣言」で決意表明 福岡・大木町、生ごみ抑制の歩み - 西日本新聞
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