Pages

Monday, October 4, 2021

鎌倉市長選 迷走ごみ処理問題どうする 費用対効果…候補者の論戦に注目 - 東京新聞

現在は粗大ごみの処理が行われる今泉クリーンセンター=鎌倉市で

現在は粗大ごみの処理が行われる今泉クリーンセンター=鎌倉市で

 鎌倉市で市長選のたびに争点になってきた、ごみ処理問題。市は新たな焼却施設の建設計画を中止し、近隣市町との広域処理や民間事業者への委託を行う方針だが、委託費がどれほどかかるのかなど見通せない要素も多い。ごみ袋有料化とセットだったはずの戸別収集は、導入の旗を揚げたまま十年が過ぎた。迷走を続けるごみ問題の現状をチェックする。(石原真樹)

◆焼却施設

 市は二〇一九年三月、山崎への焼却施設建設計画を撤回。昨年八月に逗子市、葉山町と広域で処理する計画を策定した。鎌倉市内の名越クリーンセンター(CC)が二五年三月に稼働を停止した後は、逗子市や民間事業者に委託する方針だ。松尾崇市長(48)は、人口減少などでごみの量は今後減るとして「焼却炉が余ってくる状況。(広域処理は)環境負荷が低く、より良い方法」と説明する。

 市の担当者によると、事業者への委託費は未確定だが、少なくとも名越CCでの処理に比べ、支出は増える見通し。今年二〜三月に実施した第三次市一般廃棄物処理基本計画見直し(素案)への意見公募では「域内に焼却施設が一つもないことは危険」など懸念も寄せられた。

 焼却が必要なごみを減らす政策も、先行きは不透明だ。二四年四月に稼働開始を目指す生ごみ資源化施設の整備は、一五年三月で焼却を停止した今泉CCの用地を候補地としているが、焼却施設を長年受け入れた地元の反対は根強い。

 事業系ごみは焼却でなく、再生可能エネルギーの発電材料としての活用を目指し、埼玉県内の事業者に委託する実証実験を八月に開始。実験での委託費は名越CCでかかる処理費用と同等だが、担当者は「実際に委託した場合の費用は未定」としている。

◆戸別収集

 高齢化が進む中、戸別収集を待ち望む声は少なくない。「ごみ集積所の掃除当番をやれる人がどんどん減り、もう限界」。市内の七十代女性はため息をつく。

 市が有料の指定ごみ袋の導入と戸別収集をセットで打ち出したのは一一年六月。しかし戸別収集は年間四億四千万円かかることなどから意見公募で四分の三が反対、一五年にごみ袋有料化を先行させた。戸別収集について担当者は「他市の事例などから経費節減の方法を検討中」としており、実現のめどは立っていない。

 ごみの減量効果にも疑問符が付く。一二年に市内三地区で戸別収集を試行したところ、燃やすごみの排出量は10・7%、資源物の混入率(重量)は1・2%減少。市は「一定の効果はあった」とするが、試行前より増えた地区もあった。松尾市長は「戸別収集は自分のごみに自分で責任を持って考える機会になる」と、諦めない姿勢を見せる。

 十日告示、十七日投開票予定の市長選には現職のほか、NPO代表の寺田浩彦さん(59)、元市議の中沢克之さん(55)、住民団体事務局長の兵藤沙羅さん(46)が立候補を表明しており、費用対効果や環境への負荷など、さまざまな観点から議論が期待される。

◇鎌倉市のごみ問題を巡る経緯と今後の計画

2011年6月 ごみ袋有料化と戸別収集の方針示す
  15年4月 ごみ袋有料化スタート
     4月 山崎にごみ焼却施設を建設すると発表
  19年3月 山崎のごみ焼却施設の建設中止を正式発表
  20年8月 逗子市、葉山町とごみ処理広域化計画策定
  24年4月 今泉で生ごみ資源化施設が稼働開始予定
  25年3月 名越クリーンセンターが稼働停止予定

関連キーワード

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 鎌倉市長選 迷走ごみ処理問題どうする 費用対効果…候補者の論戦に注目 - 東京新聞 )
https://ift.tt/3Bat66k

No comments:

Post a Comment