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Saturday, July 10, 2021

「海洋生分解性」素材の開発進む プラごみ問題解決へ - 朝日新聞デジタル

田中奏子

 海洋プラスチックごみの問題解決につなげようと、国内メーカーが「海洋生分解性」の素材を次々に開発している。従来のプラスチックの代わりに使うことができ、海に流れ出てしまっても微生物によって水と二酸化炭素に分解されるので、環境に悪影響を与えづらいという。

 以前から、土壌や堆肥(たいひ)作りの設備に入れることで分解できるプラスチックはあったが、海水で分解するのは技術的に難しかった。コストの高さもあって製品化される例は少なかったが、近年は環境意識の高まりを受け、利用が進んでいるという。

 世界的にもこの分野の先端をいくカネカ(東京)が開発した海洋生分解性プラスチック「Green Planet」は、水温30度の海水で6カ月以内に90%以上が分解される。原料は100%植物由来だ。2年前から大手コンビニのストローに、昨年11月からは化粧品の容器に採用された。今年5月には発泡加工に成功し、鮮魚用の箱としても使われている。

 研究を始めたのは20~30年前で、「やっと日の目を見た」と担当者。現在の生産能力は年5千トンだが、世界的に需要が増えると見込み、今後工場を新設して2030年には10万~20万トンを目指す。

 プラスチックをそれ以外の素材で置き換える動きも進む。ファンデーションなどの化粧品には肌触りを良くするために微小な「マイクロプラスチック」が含まれるが、ダイセル(大阪市)は昨年末、セルロース(食物繊維)などを原料とした代替素材を開発。海水中で約9カ月たつと90%が分解される。品質はプラスチックに劣らず、反響は大きいという。

 世界では年800万トンのプラごみが海に流出しているとされ、それを生き物が食べて死んだり、体にからまって傷ついたりする問題が起きている。環境省の調査では、10~19年度に日本各地の海岸に漂着したごみ(自然物は除く)のうち、プラスチック関連が重量で半分以上を占めた。(田中奏子)

 メモ カネカの生分解性プラスチック「Green Planet」は、植物油を微生物で発酵させてつくる。それを使ったストローが、セブン-イレブンの約1万店やファミリーマートの一部店舗などで採用されている。海外の大手菓子メーカーと、包装用素材の開発も進めているという。

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