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Thursday, July 15, 2021

せっかく分別した資源ごみがリサイクルされない?家庭でできるちょっとした対策 シラベルカ#58 - nhk.or.jp

コロナ禍で“巣ごもり”することが多くなった昨今。それに伴って家庭から出されるごみの量も増加傾向にあります。視聴者の皆さんからも「ごみ出し」に関する質問が多く寄せられるようになりました。そこで取材を進めてみると、せっかく資源ごみとして分別したのに、うまくリサイクルされていない現状が見えてきました。

そもそも取材を始めたきっかけは、次のような質問をいただいたからです。

質問①
「札幌市ではビン・アルミ缶・スチール缶・ペットボトルを同じ袋に入れていますが、どのようにして分けられ再生されるのでしょうか?」
質問②
「プラスチックごみは汚れているとリサイクルできないという話も聞いたことがあります。それは燃えるごみと一緒に燃やしているのでしょうか? となると分別に意味はあるのでしょうか?」

うーむ、聞かれて初めて気づきましたが、そのへんのことは実はあまり知られていないんですよね。取材班のメンバーもさっぱり分かりません。

それなら現場を見に行くしかない。まずは資源ごみを選別する処理工場に向かいました。

どういう流れでリサイクルされるのか

こちらは札幌市東区にある中沼資源選別センターです。札幌市では、ビン・缶・ペットボトルをひとまとめにしてごみに出すことができます。それらを市内に2か所ある選別センターに集め、種類ごとに分けているんです。

取材班を出迎えてくれたのは、優しい笑顔が印象的な選別センターの石田剛所長
石田所長によると、こちらの施設には市内の家庭や事業所から出されるビン・缶・ペットボトルのおよそ7割が集められるということです。

取材した日は、200トン以上の資源ごみがうずたかく積まれていました。この段階ではまだ缶やペットボトルはごちゃ混ぜの状態で袋に入れられています。

(取材日に集められていたゴミ)

さっそく選別の課程を見学させてもらいました。

1 まずは手作業で大まかに

ビン・缶・ペットボトル以外の異物を取り除いていきます。ごみ出しに使ったプラスチック袋などを手作業でよけていきます。

2 「磁石」と「風」で大まかに分類

次に出てくるのが磁石の付いた機械です。もうお分かりですよね。磁石にくっつくスチール缶だけをよけることができます。

続いて、スチール缶以外のものについては、風を利用して分けていきます。軽いペットボトルやアルミ缶は風の力で上に飛ばされ、一方、重たいびんは下に落ちるという仕組みです。

3 残りは手作業で分類

ここからは、また手作業です。ペットボトルとアルミ缶が流れてくるレーンでは、作業員が地道に分類していきます。

さらに、びんも色ごとに分けていくんです。リサイクルするにはあらかじめ色ごとに分けておくのが大事だそうです。選別センターでは「白」「茶色」「その他の色」に分けていました。

4 ペットボトルは圧縮して業者へ

最後に残ったペットボトルは圧縮機にかけられ、大きな塊にします。ここでも作業員が目視で異物が混じっていないかチェックして、ようやくリサイクル業者に引き渡されるのです。

現場で見えた課題とは?

ここまで資源ごみの仕分けの流れを見てきました。
ただ、シラベルカが気づいたことが!?
「残さ(ざんさ)」と書かれた場所にいくつものペットボトルが集められていたんです。
これってリサイクルに回されないの? 石田所長に聞いてみました。

石田所長
「中の水が入っていたり、ひどく汚れたりしているものはリサイクル業者に引き取ってもらえないんです。そういったものはすべて焼却に回されています。残った中身は捨てていただくとか、汚れていたら軽くすすいでもらうだけでだいぶ変わってきます。ちょっと気づいてやっていただければ、それがまた大きなリサイクルにつながっていくんです」

札幌市によりますと、昨年度収集されたビン・カン・ペットボトルはあわせて3万5647トン。このうち2割以上にあたる7822トンがリサイクルされませんでした。

容器包装プラスチックのリサイクルでも・・・

実はこうした「惜しいケース」は容器包装プラスチックのリサイクル現場でも起きているそうです。同じ東区にあるプラスチックの選別センターで聞いてみました。
寄せられた質問にあったような汚れのひどいプラスチックはやはりリサイクルできないということです。昨年度は700トン余りのプラスチックが再生されずに焼却されました。
せっかく家庭などで分別してくれたのに、もったいないですよね。

シラベルカの疑問に対する札幌市の回答は「固形物があるか、ないか」でした!
容器がきれいになるまで洗剤でゴシゴシ洗う必要もないんです。固形物が残らないようにさっと水ですすぐだけでリサイクルに回せるそうです。

(上はリサイクル可能・下はリサイクル不可)

もう1つ、マヨネーズやケチャップなどのチューブ状の容器はすすぎにくいですよね?
どうすべきか市に聞いたところ、こうしたものは最後まで使い切ってさえいれば、洗っていなくてもリサイクルに回せるとのこと。

分別の方法は自治体ごとに違いますし、ごみ出しのガイドブックを発行しているところもあります。分からないことはお住まいの市町村に問い合わせてみてください。

ちょっとした心がけで

今回は札幌市を例に見てきましたが、道によると、リサイクルできるものが焼却されてしまうケースはほかの地域でも起きているということです。
多くの家庭が資源ごみの分別を「当たり前のこと」として協力しているのは、しっかりリサイクルされることを期待しているからだと思います。
分別するときに中身が残っていないかを確認し、汚れていたら軽くすすぐことを心がけるだけでリサイクルに回せる量は確実に増えていくはずです。これまでの分別のしかたでいいのか、私たち自身がいま一度、振り返るべきだと思いました。
(シラベルカ取材班 藤井凱大記者、安田想ディレクター)

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