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Monday, December 7, 2020

リチウムイオン電池、ごみとして捨てられ火災相次ぐ - 朝日新聞デジタル

 不燃ごみなどに混入したリチウムイオン電池が原因とみられる発煙や発火が、埼玉県内の施設で相次いでいる。上尾市のごみ処理施設では10月にこれが原因とみられる火災が発生し、ごみ処理事業に影響が出て、修理費に多額の税金が投入される事態となった。自治体などは、分別して捨てるよう呼びかけている。(小林祝子)

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 10月13日、上尾市の西貝塚環境センターにある粗大ごみ処理施設で火災が発生し、破砕物を運ぶゴム製のベルトコンベヤーなどが焼けた。出火原因は特定できていないが、市は、誤って粗大ごみとして捨てられたリチウムイオン電池が衝撃を受けて発火したとみている。

 この影響で、施設を修理する工事が必要となり、市は関連経費1億4839万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を11月下旬の市議会臨時会に提出し、可決された。工事は来年夏までかかる見通しで、この間の粗大ごみの処理事業を他の自治体などに委託せざるを得なくなった。この委託費なども含めると、復旧までに必要な費用は膨らみ、総額で数億円になる見込みだ。

 リチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒に過度な圧力が加わると発煙、発火することがある。市内では11月、ごみ収集車から発火し、燃えたリチウムイオン電池が見つかった。

 市は「リチウムイオン電池を含む小型充電式電池はごみに出さず、リサイクル回収箱に出してほしい」として、市民にチラシを配ってごみ分別の協力を求めている。

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 日本容器包装リサイクル協会によると、リサイクルのための再生処理施設で起きた全国の発煙、発火トラブルは、2017年度56件、18年度130件、19年度が301件と急増している。埼玉県内では17年度19件、18年度13件、19年度が10件だったが、今年度(10月末時点)は20件で、前年度に比べて倍増している。リチウムイオン電池が使われているスマホなどの充電式モバイルバッテリーに起因する例が増えているという。

 協会によると、家電にリチウムイオン電池が使われていることを知らずに、粗大ごみや不燃ごみとして出されているケースが多いという。加熱式たばこなどのように、内蔵電池の取り外しが難しい製品が増えているのも、トラブル増加の背景にあるとみている。

 リチウムイオン電池が使われている不要になった小型充電式電池の回収箱のある店は、小型充電式電池のリサイクル活動を行う一般社団法人JBRCのホームページで地域ごとに検索することができる。

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 〈リチウムイオン電池〉 スマホや掃除機など家電製品に使われている。大容量で繰り返し充電しても性能が落ちにくいのが特徴で、近年急速に需要が高まった。資源有効利用促進法では、メーカーなどがリチウムイオン電池を含む小型充電式電池を回収・再資源化することになっている。利用者は家電店や自治体に設置された回収箱に処分する必要があるが、十分に周知されていないのが実情だ。

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