原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、北海道
◆地上施設を撤去・更地で「完成」までに3.9兆円
最終処分場は、地中300メートル以上の深さに、使用済み核燃料を溶かした廃液とガラスを混ぜた「ガラス固化体」を埋めて処分する施設。地上部分の敷地は1~2平方キロメートルで、地下に総延長約200キロの坑道を張り巡らす。
総事業費は約3.9兆円と試算されており、坑道を埋め戻し、地上の施設を撤去して「完成」するまでの費用。私たちが支払う電気代を元に原発を保有する大手電力会社など13社が、事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)に拠出して資金を確保する。
海外ではフィンランドで処分場が建設中で、そこは硬く安定した地層。日本の地層は欧米よりも新しく、軟らかくて水を通しやすい上に、地震や火山活動も活発であるため、深い地層に埋めて、安全に管理できるのかどうかなど懸念や不安がぬぐえない。
◆カギ握る知事・市町村長の意見 「反対」で進まず
処分場選定の手続きは、まず資料で活断層の有無など立地の可能性を調べる「文献調査」に2年程度、次にボーリングなどで地質を調べる「概要調査」に約4年、地下に調査施設をつくって詳しく調べる「精密調査」に約14年かかることを想定している。
特定放射性廃棄物最終処分法では、概要調査以上へ進む際には経済産業相が知事および市町村長の意見を聴き、十分に尊重しなければならないと規定。経産省の担当者は「知事か市町村長のどちらかが反対ならば、先には進まない」と明言している。
文献調査を行うだけで、自治体は年10億円で最大20億円の交付金を国から受け取れる。経産省の担当者は「地元への敬意と感謝の気持ち」と説明するが、立地の可能性を調べる段階での交付金は原発で年1.4億円、火力発電所では年5000万円なので、桁違いに高額。概要調査に進めば、交付金は最大70億円となる。
◆1カ所で足りる? 「今の時点では」梶山経産相
現状の計画では、最終処分場を1カ所しか想定していない。2020年10月16日に梶山弘志経済産業相が記者会見で、2カ所目の最終処分場を検討する可能性を問われ、次のように答えた。「今ある廃棄物を全部処理してガラス固化体にしたとしても十分に足りるということで、更にまたその後続くということも含めて、続いたとしても十分な容量ということで、今の時点では1か所ということで考えています」
最終処分場に埋められるガラス固化体は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再利用する「核燃料サイクル政策」が前提。ただ、この政策が事実上破綻している。使用済み核燃料の再処理ができなければ、そもそも埋めるガラス固化体を作るステップに進まない。
各原発のプールでは、大量の使用済み核燃料が冷却保管されている。青森県六ケ所村にある日本原燃の再処理工場が稼働したとしても、使用済み核燃料が順調に再処理されるめどは立っていない。それはなぜだろうか。
◆検証なし、見直しなし、未来なき政策に固執
大きく分けて二つの理由がある。核燃料サイクル政策では、取り出したプルトニウムとウランを混ぜて製造する混合酸化物燃料(MOX燃料)を、通常の原発で使うことを想定してる。日本は海外(英仏)に再処理を頼んでいた経緯があり、そこで取り出されたプルトニウム36.6トンが海外で保管されている。これは日本が所有するプルトニウムの総量の8割を占める。MOX燃料を製造するにしても、海外保管分を使うのが先となり、国内で核燃料を再処理する必要がない。
もう一つは、MOX燃料を通常の原発で使う「プルサーマル発電」ができる原発が現状で4基しかなく、MOX燃料の需要が見込めない。需要がないなら、材料をつくる再処理の必要性がないというわけだ。
核燃料サイクル政策の破綻を認めない日本政府は、あくまでも最終処分場にガラス固化体を埋めることを前提にしている。しかし、核燃料の再処理が必要なければ、ガラス固化体=核のごみは増えていかない。原発を動かし続ければ、使用済み核燃料が増えていくばかり。海外では、核燃料サイクル政策をとらずに、使用済み核燃料を直接地中に埋めて処分することを計画している国もある。日本は政策の実現性を検討しないまま、「ごみの容量を減らせる」という理由を挙げて、ガラス固化体の埋設処分に固執している。
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