【深層リポート】
「対岸の火事」となっていないか。原発で生じた高レベル放射性廃棄物は「核のごみ」と呼ばれる。その最終処分場の候補地選定作業の入り口となる文献調査に、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が応募した。最終処分事業は国の重要課題だが、なぜ必要かを説明する責任を町村長が負っているのが実情だ。
根強い風評懸念
「漁業者は福島原発事故の風評を被ってきた」「海外の観光客から見た印象は北海道だ」。文献調査への応募に向けた動きが8月13日に寿都町で表面化して以来、北海道内の団体と周辺自治体から抗議や反対意見が相次いだ。
農林水産業と観光を基幹産業とする北海道では、風評被害への懸念は強い。しかし、「全国に理解活動を広げる」という以外に国などから具体的な対策は出されていない。
同町で9月上旬に始まった住民説明会では「国の大きなプロジェクトは途中で止まらない」「調査で終わらず、最終的に核のごみ場ができる」などと国への不信をあらわにする意見が相次ぎ、10月には怒号になった。片岡春雄町長宅では放火未遂事件が発生。神恵内村役場には「村の魚を買わない」「死ね」といったはがきなどが届く。片岡町長は「脅迫じみたメールが水産加工業者にくると議論ができない」と訴えた。
核のごみは万年単位で放射能が残るため、国は地下300メートルより深い岩盤中に閉じ込める地層処分とする計画だ。北海道では処分技術に関する全国唯一の研究施設を幌延町に受け入れており、その研究期間の延長を道と同町が同意したばかり。道内では調査受け入れの賛否をめぐる激しい議論が続きそうだ。
「国が前面」のはずが
最終処分地選定をめぐっては、平成19年に全国で初めて応募した高知県東洋町で反対運動が起き、出直し町長選で推進派の現職が落選した。公募が事実上頓挫し、首長の政治リスクが指摘されていた。
寿都町は町議9人のうち4人が反対。神恵内村は北海道電力泊原発の立地地域で住民の抵抗感は比較的薄いとはいえ、村議会では賛否をめぐり激しい論戦があった。村商工会が応募検討を請願して約1カ月で応募に至ったことも不信感をくすぶらせている。
国は27年に前面に立って取り組む姿勢を明確化したが、市町村が矢面に立つ状況は変わっておらず、住民が賛否で二分される恐れがある。
「交付金」めぐる中傷
文献調査受け入れ自治体への最大20億円の交付金について、巨額の交付金で財政の厳しい市町村に手を挙げさせているという批判もある。
神恵内村の高橋昌幸村長は「全てくるわけではない。貧乏な村だが、20億円では(村を)売らない。1千億円でも売れない」と原子力政策に協力する点を強調する。寿都町の片岡町長は交付金も動機の一つと認めつつも「何に使えるのか、周辺市町村に分配されるのかも分からない」とし、交付金より核のごみを全国で議論する意義を唱える。
だが、2町村とも現に財政が厳しい上、文献調査だけで終わる可能性もあり、「交付金目当て」とおとしめる声が道内外からも止まない。国は「受け入れ地域に対する敬意や感謝の念を国民で共有する」というが、道外の市町村から手が挙がらない状況が続けば議論は広がらず、国民が課題を共有するのは難しそうだ。
【「核のごみ」最終処分地選定調査】 (1)文献(2)概要(3)精密-の3段階で実施される。全体で約20年の調査期間中に廃棄物が持ち込まれることはない。文献調査は過去の記録から活断層の状況や鉱物資源の分布などを調べる机上調査。文献調査受け入れ自治体には約2年間で交付金最大20億円、地層の掘削を伴う概要調査では約4年間で最大70億円が支払われる。各段階から次へ進むには知事と市町村長の同意が必要。
【記者の独り言】 まるで情報戦だ。「泊原発は反対してもどんどん建設された。調査を受け入れたら処分場ができるまで止まらない」という説が流布されている。泊原発の誘致活動が忘れられたかのようだが、原発反対派からみれば事実といえなくもない。だから大臣が「首長の意見に反して次の調査に進むことはない」と約束しても信用しないのかもしれない。一方「原発誘致のためハチマキを巻いて反対派に対抗した」と経験を語るお年寄りもいる。(寺田理恵)
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November 10, 2020 at 01:00PM
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「核のごみ」文献調査、市町村が矢面に…脅迫メールや放火未遂も - SankeiBiz
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