地学専門家に聞く「核のごみ」(2)
「日本は地殻変動が激しく、地震が起こり、火山が噴火する。地震がほとんど起きないフィンランドやスウェーデンなど北欧の安定した地下の地盤で核のごみを処分する計画と日本は同列に論じられない」
毎日新聞のインタビューでこう語るのは、新潟大名誉教授(鉱物学)の赤井純治氏だ。
赤井氏は北海道教育大名誉教授の岡村聡氏ら地質学、鉱物学、地理学、地下水学など地学専門の27人の有志で10月30日、「火山国・地震国の日本で10万年の間、核のごみを地下に安全に埋設できる場所を選定することは不可能だ」とする声明を発表。政府などに送付した。
政府と大手電力会社は原発から出た使用済み核燃料を再処理した後に残る核のごみ=高レベル放射性廃棄物を、地盤が安定した地下300メートル以深の地層に埋め、数万年以上にわたり管理する最終処分計画を目指している。
フィンランドでは建設進む
日本では最終処分場の選考が難航しているが、フィンランドは2000年に地下の処分場を決定し、16年から世界で唯一、処分場の建設が進んでいる。スウェーデンは09年に処分場を選定し、政府が22年に事業許可を出すなど建設に向けた準備が進む。
このため政府や大手電力会社は「高レベル放射性廃棄物は地層処分が最適で、世界共通の認識」との立場だ。原発の再稼働と運転期間の延長を目指す岸田政権はフィンランドの先例を手本に処分場の選定を急ぐ。
これに対して、この有志グループは、冒頭の赤井氏の発言の通り、日本と北欧の地質の違いを説く。北欧の地質は日本よりも古く、地震が少ない「安定陸塊」だが、日本列島は複数のプレートが相接し、地震と火山が世界的にも極めて多い「世界最大級の変動帯」という。
有志グループは「地質条件の違いを無視して北欧の地層処分と同列に扱い、安全性が保障されるとみなすのは論外と言わなければならない」と声明に明記。「日本に地層処分の適地はない。現在の計画を中止し、…
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