原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定をめぐり、長崎県対馬市での調査に反対する市民団体など計5団体が2日、第1段階である文献調査に応募しないよう求める「要望書」を比田勝(ひたかつ)尚喜市長に提出した。
提出したのは、厳原町女性団体、核のごみと対馬を考える会、対馬市水産加工連絡協議会、対馬地区漁協青壮年部連絡協議会、文献調査に反対する市民の会の5団体。
代表して読み上げた漁協青壮年部連絡協議会の要望書は、処分場について「豊かな自然環境を不可逆的に破壊し、風評被害を起こし、対馬の価値を下げる」として調査は不要と強調。調査を求める動きについて「ようやく増えている観光客数が減少し、産業へ大きな損害が及ぶ」と懸念を示した。
また「被爆県である長崎が処分場に積極的に取り組むことは避けなければならない」と指摘。海洋汚染などが出た場合、「被害は近隣諸国に及び国際問題になる。安全保障上の観点からも持ち込みは避けねばならない」とした。
文献調査の受け入れについて、業界団体などが賛成の立場での請願を6月の市議会に提出する予定。5団体も、反対の立場での請願を提出する予定という。市議会がどちらの立場の請願を採択しても、文献調査への応募は最終的に市長が判断する。(石倉徹也)
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「核のごみ」の最終処分場をめぐり、対馬市の比田勝(ひたかつ)尚喜市長が3月市議会で、誘致に反対する議員から方針をただされ、「恐喝」などと発言していた。議会は5月31日、「不穏当な発言」として議事録から削除したうえで公開した。
公開された議事録や市議会事務局などによると、発言があったのは3月6日の一般質問。誘致に反対する脇本啓喜市議は、市長が2020年の市長選で「誘致しない」と発言したことなどに触れ、パネルを使って「今も変わらないか」と答弁を求めた。市長は「市としては、誘致に向けた動きは行っていない。個人的見解は控える」と答えた。
市議がさらに、ダムや干拓の事業を例に挙げて、住民が反対の声を上げても、行政が決めれば事業は強行されると主張。改めて誘致への考えを問いただした。
これに対し、市長は「議員の考えに誘導するような考えじゃないか。悪い言葉で言えば、これ一つの恐喝ではないか」と発言した。
議会側は市長の発言を問題視。議長が「社会常識に照らしてふさわしくない」と判断し、ネットで公開された議事録には「○○」と差し替えた。比田勝市長は発言について、朝日新聞の取材に「個別の質問には応じられない」と市総務課を通してコメントした。(小川裕介)
からの記事と詳細 ( 核のごみ処分、風評懸念して対馬市長に「反対」 要望書を提出:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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