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Saturday, March 18, 2023

奈良がわかる 奈良市のごみ処理施設、移転建設計画の現状は?:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

 オシドリの「はなくいどり」は朝日新聞奈良総局の公式キャラクター。正倉院宝物にも描かれた吉祥文様です。花をくわえて、最新のニュースや身近な話題を求めて県内を飛び回ります。

 はなくいどり 奈良市のごみ処理施設・環境清美工場(左京5丁目)の移設計画は順調に進んでいる?

 A 建設候補地をめぐる混乱が続いていて、順調とはいえないね。

 は 候補地に名乗り出た地域があったんだって?

 A 同市中町の追分地区だ。「追分自治会」と「追分梅園組合」が1月、組合の土地をもって立候補する要望書を市に提出した。

 代表者は朝日新聞の取材に対して、人口減に伴う梅林の担い手不足や経済効果の減少を挙げて「地域の活性化につなげたい」と話した。梅林を残すことを条件にしたいという。

 は 市にとっても好都合なのでは?

 A そう単純ではない。2月13日にあった建設計画策定委員会では、委員が「地元理解が一定得られている」と、追分地区の立候補を前向きに捉える場面があった。一方で仲川げん市長は、環境アセスメントなどの工程が一部完了した現在の候補地・七条地区を「大前提」とする姿勢を崩さなかった。

 翌14日には、梅林に近接する丸山自治会から建設反対の意見書が市に提出された。市は立候補を「必ずしも地域の総意が反映されたものではない」とし、慎重な構えを見せている。

 は 七条地区の住民は、どう反応しているの?

 A 自治会や周辺住民は反対や再検討を訴える要望書を市に提出してきた。

 新しいごみ処理施設(クリーンセンター)の建設は元々、周辺市町との広域化を目指していた。だが、大和郡山市斑鳩町の離脱で広域化は昨年に頓挫。奈良市が七条地区に建てれば、大和郡山市の建設候補地と約300メートルの距離に迫る。焼却施設が二つ並ぶことによる周辺地域の負担は、策定委でも懸念された。

 は いまの場所で建て替えることはできないの?

 A 同じ疑問を口にする市民もいるが、ハードルは高い。建設計画は、現施設の移転を求めた周辺住民と市の間で2005年に公害調停が成立したことから始まった。調停条項には「新しいごみ焼却施設の建設計画を早期に策定し、(中略)移転を実施する」と記されている。

 06年に第1回が開かれた策定委は調停成立を受けて設置された、「移転を推進するため」のものだ。公害調停は和解契約としての法的な効力があり、変更には約3500人いる全申請人との合意が必要。仲川市長は昨秋の市議会で、現在地での建て替えについて「非常に難しいと判断せざるを得ない」と話した。

 は いまの施設はいつごろまで使えるの?

 A 建設から約40年が経過し、市によると、劣化が広範囲に及んでいる。21年には焼却炉の装置に不具合が起きて、施設は1カ月運転を停止した。維持補修経費として例年8億円がかかっていて、23年度予算では大がかりな補修に1億5500万円を計上した。

 いまある4炉を10年程度継続して操業するには、さらに計89億6700万円(税別)かかると想定される。

 は ごみ処理施設は市民の生活を支えている。安全に稼働してほしいな。

 A 公害調停条項には、11年度末を目標に「新施設の用地を確定する」と記されている。策定委は発足から20年近く経ち、前回で第60回を数えた。市は今後、開催頻度を月1回程度に増やし、進行速度を上げたいとしている。(富岡万葉)

新ごみ処理施設(クリーンセンター)の建設計画をめぐる動き

2003年8月 現施設の周辺住民らが、県公害審査会に移設を求める調停申請書を提出

 05年12月 第20回調停で住民と奈良市の間で調停が成立

 06年2月 建設計画策定委員会の第1回を開催

 19年12月 仲川げん市長が七条地区を候補にする方針を示す

 20年8月 新施設の共同運用計画から生駒市平群町が離脱

 21年8月 計画から大和郡山市が離脱

 22年8月 計画から斑鳩町が離脱。奈良市は9月に広域化を断念

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