岡山市教育委員会が、学校給食の食べ残しや調理時に出る生ごみを再生エネルギーのバイオガス発電に活用する検討を進めている。食品廃棄物を減らすとともに、焼却処分で発生する二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えることが狙いだ。早ければ来年度からの事業化を目指す。
バイオガス発電は食品廃棄物や家畜の糞尿(ふんにょう)、下水汚泥などに含まれる有機物を発酵させ、発生したメタンガスを燃料とする発電だ。
市教委が今年6月の5日間を対象に調べたところ、市立学校全体では小学校87校で4・5トン、中学校35校で3・1トンの生ごみが出ていた。市の焼却場ですべて焼却処分しているという。
市教委は10月21日~11月4日に給食で出た生ごみのリサイクルを試行した。調理する給食の量が多く、生ごみの多い鹿田、岡山中央、高島の三つの小学校と、市立中学校の給食を調理する岡山学校給食センターから週2回、市環境局のパッカー車で生ごみを回収。バイオガス発電事業に取り組む会社「バイオディーゼル岡山」(岡山市南区)の工場で、発電に使用してもらった。発電した電気は同社が、中国電力などに売電した。
試行の結果について、市教委では生ごみとそれ以外のごみを分別できたかどうかや、効率的なゴミの回収方法などを検証している。
試行では、バイオディーゼル岡山の協力で処理費用は発生していないが、事業化した場合は市の事業系一般廃棄物処理手数料と同じ1トンあたり1万5千円(来年度から1万8千円)を同社に支払うことになる見込みだ。
市教委保健体育課の担当者は「事業化すれば、食品廃棄物の有効活用につながり、環境教育にも役立つと思う」と話している。
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今回、給食から出た生ごみを受け入れたバイオディーゼル岡山は非鉄金属大手DOWAグループのDOWAエコシステムの子会社で、2008年6月に設立された。21年4月に稼働した新工場は、中国地方で初の商業的な大規模バイオガス発電施設だ。
同社はもともと、廃食油を使ったバイオディーゼル燃料(BDF)の製造と販売を手がけていたが、新たにバイオガス発電事業に参入。岡山市南区築港栄町に工場を建設した。
工場では、ホッパーに投入した食品廃棄物から自動的に包装容器を取り除く機械を備える。破砕した食品廃棄物はメタン発酵槽に送られ、メタン菌の働きで1カ月かけてメタンガスを発生させ、ガスエンジンで燃やして電力に変換する。
廃棄物の処理能力は最大1日45トン、1日あたり1万8千キロワットの発電能力を持ち、一般家庭約1600世帯分の電力をまかなえる。岡山県や近隣県のスーパーやコンビニ、食品工場などから出た食品廃棄物を受け入れ、現在は1日平均約20トンを処理している。
石浜義朗社長は「初めて手がける事業だが、ノウハウを確立してさらに各地で事業を拡張していければ」と話した。(柳川迅)
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