日本海に浮かぶ山形県唯一の離島・飛島(酒田市)で問題となっている、海岸に漂着するごみの数々。回収も大変だが、高低差のある道やごつごつした岩場から運び出すのも一苦労だ。この課題を技術の利用で解決しようと、自動運転や遠隔操作で動く運搬ロボットの「実験合宿」が行われた。
合宿は10月15、16日にあり、研究者や機械メーカーの技術者、漂着ごみ問題に関心を持つ人など10人ほどが集まった。
参加者はまず約1時間かけて、漁網や漁具、プラスチック製品、金属製品などを拾い、運搬ロボットの「荷物」となるごみを回収。20リットルのゴミ袋で51袋、重さ90キロ分をつくった。
島西部の荒崎海岸に持ち込んだ、平地と傾斜地の両方で走れる1号機と、農業用ロボットをベースとした2号機に荷物を積んで実走。海岸部の岩場から、30度を超える傾斜が続く高低差50メートルの遊歩道を抜け、車の入れる高台まで、自動運転と遠距離操作で運んだ。
仙台高専の園田潤教授は、実験を通じて、1号機の改良点と2号機の性能確認ができたと評価。今後、本土側の海岸でも実験し、来年5月に予定されている飛島クリーンアップ作戦に今回の2機を改良して投入するという。
島の西側にあり、打ち寄せる漂着ごみが多い荒崎海岸の場合、ごみを回収する海岸から、トラックが入れる農道までは、高低差が50メートルほどある遊歩道が300メートル近く続く。
毎年5月のクリーンアップ作戦でも、この距離を人力による「バケツリレー方式」で運んでおり、作業時間の約半分は搬出に費やされていた。コロナ禍後はクリーンアップへの参加に人数制限がかかっている。
島の人口は174人で高齢化率は79・89%(いずれも9月末時点)。「限界集落」であり、島民だけでの作業は不可能で、省力化は緊急課題となっている。
一方で、島に移り住んだU・Iターンの若者たちが中心となり、2020年10月には、離島が抱える諸問題を様々な技術を駆使して「楽しく」解決しようという「TECH ISLAND(テックアイランド)」プロジェクトを始めた。今回の合宿もその一環だ。
「合宿」としたのは、「ロボット」や「海ごみ問題」といったキーワードから飛島に関心を持ってくれたり、来島してくれたりする「関係人口」を増やす狙いもあったからだ。
実際、一般参加者5人のうち2人が初来島で、「新規開拓」に成功している。(鵜沼照都)
からの記事と詳細 ( 飛島で海ごみロボ合宿、狙いは「関係人口」増:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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