様々な資源のリサイクルが浸透したものの、日本はいまも「ごみ焼却大国」だ。とりわけ腐敗しやすい「生ごみ」は燃やして当然と思っている人が多い。廃棄物管理が専門である北海道大学大学院の石井一英教授は、こんな社会の風潮に異議を唱える。生ごみは自治体の「資源」で「燃やしてはいけない」というのだ。その真意を尋ねた。
「焼却大国」の日本、限界に直面
――なぜ日本は「焼却大国」になったのでしょうか。
「国土が狭くて埋め立て処分する土地がなく、とにかくごみを減量しなくてはならなかったからです。夏は蒸し暑く、臭いの問題もある。衛生の面から熱処理も重視された結果、焼却処理が日本の廃棄物処理の原点になりました」
「日本ではごみの処理・管理責任が自治体にあります。生ごみなどの有機物を最終処分場に埋め立てると、長期間、浸出水の処理をしなくてはなりません。焼却施設ならば、住民の反対も処分場よりは少なくて済む。だから、国は高度成長期に補助金を出して、各地のごみ焼却施設の建設を後押ししました」
――日本のごみ焼却技術は世界最高水準と聞きます。
「最初に海外から技術を輸入した時、日本のごみは水分が多すぎて、全然燃えなかったそうです。その後、日本メーカーがごみの性質にあわせて技術を改良していきました。補助金もあり利益が見込めるから、多くの企業が参入し、市場も拡大しました」
――そんな日本で、なぜ「生ごみは燃やすな」と唱えるのですか。
「近年、資源の分別回収が普及し、可燃物の中に占める生ごみの割合が増えています。含水率が50%ぐらいになる例もあり、燃焼効率が悪くなっている。水分や汚れなどが付着して資源を分別しづらくなったり、ごみ汁などの汚水や悪臭が生じたりする問題も新たに生じています」
「現在のペースで生ごみを焼却し続けるのは、限界が来ています。調理くずや残飯、期限切れ食品などをできるだけ減量したうえで、生ごみはリサイクルに回すべきです」
「さらに、いま世界はグローバル化や原油価格の高騰で化学飼料や肥料の奪い合いです。アジアでは経済成長を続ける中国の購買力が増している。生ごみで飼料や肥料をつくれば、日本の農業安全保障にも資することになります」
――具体的には生ごみをどうリサイクルするのですか。
記事後半では、生ごみリサイクルを実践する自治体で出ている成果、そして食糧危機や気候変動の時代におけるバイオマスの可能性について語ります。
「すでに家庭で堆肥(たいひ…
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