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Thursday, June 16, 2022

被害約5万棟、災害ごみ負担重く 福島県沖地震から3カ月(写真=共同) - 日本経済新聞

福島、宮城で最大震度6強を観測した3月の福島県沖地震から16日で3カ月。両県の集計で、住宅の全半壊や一部損壊は約4万9千棟に及んだ。被害が大きかった福島県相馬市では、破損した家具や建材など「災害ごみ」の処理問題が重くのしかかる。苦しい日々をしのごうと、フリーマーケットを開く住民もいる。

福島県では6月中旬もなお、各地で災害ごみの搬入が続く。週末の12日、相馬市内の集積場。外壁が崩れた実家2階部分の解体を決め、家財を運び込んだ同市の会社員(52)は「災害はまだ終わっていない」とつぶやいた。

市によると災害ごみの搬入申請数は約6千件で、2021年2月に最大震度6強を観測した地震の10倍だ。今回の地震では市内のごみ処理場も被災し、稼働停止。家庭ごみすら市外へ搬出しており、その費用もかさむ。

災害ごみの処分費用の9割には国の補助金や交付金が充てられるが、住宅の公費解体も含めた市の支出は20億円超と見込まれる。担当者は「歳入も増えず財政は苦しい」と嘆く。

景勝地・松川浦を眺望できる相馬市の旅館「栄荘」は、施設解体を決めた。客室の倒れた内壁や抜け落ちた天井は手つかずのまま。十数台のエアコンや壁紙は新調したばかりだった。

地区の宿泊施設の大半は被災直後から閉業し、栄荘も無収入が続く。従業員の雇用や、税金支払いのため5月上旬、傷まなかった食器や羽毛布団、風呂おけなどの格安販売を始めた。災害ごみとして廃棄すれば1円にもならない。旅館内で開くフリーマーケットの形で、当面、土日に不定期開催するという。

経営者の女性(54)は、解体後の未来を描けないでいる。11年の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故、21年の地震、今も続く新型コロナウイルス禍……。逆風続きの中、資金繰りは一層厳しくなった。再建による負債を背負えるのか、客足は戻るのか。不安は尽きない。

片付けに追われながら、海水浴や潮干狩りでにぎわったかつての松川浦の記憶がよぎる。経営者は「常連客から『また来たよ』と言ってもらえる日」を思い描いてもいる。〔共同〕

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