県内の道路の白線を塗り直す基準に関する記事を掲載したところ、読者から「劣化して剝がれた白線は、プラスチックごみとして海に流れ出るのでは?」との質問が寄せられた。プラごみと言えば、5ミリ以下に細かく砕けたマイクロプラスチック(MP)が深刻な海洋汚染をもたらすことが分かっている。関連はあるのだろうか。県やメーカー、識者に尋ねた。
県によると、県道など一般道の白線には、日本産業規格(JIS)で認証された専用の塗料が使われているが、「塗料の成分が環境にどの程度影響するかは把握していない」と土木技術管理課。プラごみ削減を啓発している循環社会推進課も「劣化で剝がれた白線とMPの関係は分からない」と答えた。
そこで、路面標示材などを製造、販売する「積水樹脂九州支店」(福岡市早良区)に聞いた。同社が製造している白線用塗料の成分は、炭酸カルシウムが7割を占め、残りはガラスビーズ約15%、石油樹脂約15%。赤色や青色のカラー舗装に使う塗料は、石油由来ではない色粉を加えているという。
環境化学が専門の熊本大大学院先端科学研究部の中田晴彦准教授(53)は「白線用の塗料に使われる石油樹脂は、プラスチックといえる」と指摘する。学生らと過去に実施した、熊本市~八代市の国道3号の路上のちりを集めた調査では、全16地点でMPを検出。周辺のカラー舗装とほぼ同じ成分のMPも見つかった。
中田准教授によると、パイロンや歩道の点字ブロックなども劣化するとMPの発生源となる。「海の汚染を防ぐには、社会全体でプラスチック使用を減らすべきだ。道路の白線やカラー舗装のプラスチック成分を、自然由来のものに転換していく必要がある」と話している。(上島諒)
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