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Friday, April 8, 2022

プラごみ新法施行 - Miyanichi e-press - 宮崎日日新聞

効果を検証し規制強化図れ

 使い捨てプラスチックによる環境汚染対策として新たに定められた「プラスチック資源循環促進法」が1日、施行された。

 製造、販売から廃棄、回収までさまざまな新施策を導入したが、ほとんどが企業の自主的取り組みと地方自治体の努力に任され、強制力は小さい。プラスチック製品の削減に向けた根本的な対策には程遠く、新法の効果の検証と規制強化が必要だ。

 新法は、リサイクルしやすい製品や、使い捨ての削減につながる製品など、環境に配慮した設計に関する指針を国が示し、リサイクル材の利用設備への支援を行う。

 プラ製品を販売、提供するコンビニやホテルなどに関してはフォークやスプーン、歯ブラシなど12品目を定め、これらを前年度に5トン以上提供した企業に何らかの削減対策の実施を義務付けた。一見、強力な法律のようにみえるが設計指針の採用も削減対策の内容も企業任せだ。フォークやスプーンが必要かどうかの意思確認だけでも削減対策とされる。欧州連合(EU)諸国など多くの国が、リサイクル素材を一定量使うことを義務付けたり、使い捨て製品の販売や使用を禁止したりする中、この対策はあまりに軟弱だ。

 一般の消費者に関連する新施策としては「一括回収」の導入がある。これはハンガーやおもちゃ、調理器具など現行の容器包装リサイクル法の対象外である製品まで、同法のリサイクルルートを活用してリサイクルを行うことを可能にするものだ。

 リサイクルルートに乗る製品が増えれば、多くの作業が地方自治体の業務となる。しかも、対象となる製品の判断や中間処理が煩雑で、実施すれば、ただでさえ増加傾向にある自治体のプラごみ対策の手間と費用が増えることになる。

 廃棄物対策でよく耳にする「3R」とは削減、再利用、リサイクルを指す。日本の政策はリサイクルの偏重が激しく、より重要な削減や再利用の促進はなおざりにされてきた。新法も、プラごみの削減や再利用を促進する方策には乏しい。

 廃棄物対策を進める上で国際的に重要とされるものに「拡大生産者責任(EPR)」の原則がある。製品の生産者に、自社の製品がごみになった時の責任も負わせ、処理費用などを負担させることで、生産者が廃棄物削減対策を進める動機付けにするという政策だ。

 日本のプラごみ対策はEPRが不徹底だと指摘されてきたが、今回もそれは変わらない。法律をいくつ作っても、大量生産、大量消費の構造を変えない限り、リサイクルに投じられるエネルギーと税金、手間が増えるだけに終わるだろう。

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