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Friday, December 3, 2021

マスクだけじゃない プラごみ問題とコロナ禍 - 読売新聞

 通勤途中、駅までの十数分で2枚、駅のホームで1枚。ある休日、1時間ほどの散歩で5、6枚。落ちていたマスクの数だ。不織布が多い。マスクの性能の面から、不織布製が薦められていることも関係しているのだろう。コロナ禍の前は、インフルエンザが流行する冬場に目につく程度だったが、通年で見かけるようになった。

 「河川のごみの調査では必ずマスクが見つかります」

 大阪商業大学准教授(公共経済学)の原田禎夫さんはこう話す。京都府亀岡市でNPO法人「プロジェクト保津川」の代表も務め、河川の環境保全活動を続けている。

 「実は、不織布マスクは、主にプラスチック繊維が原料です。しかし、そう認識していない人が多い。はっきりとプラスチックだと分かる表示がなされていないのが問題です」

 ポイ捨てばかりではなく、誤ってポケットから落ちたりするケースも多いと見られる。しかし、「プラスチックなので土には返らない」という知識がないと、注意も向かわない。衛生面を配慮し、可燃ごみとして処理される。

 「布」の字を使うことや、紙のような見た目からの誤解だろう。雨などで川や海に流出すると、魚や鳥が食べるなどして被害を受ける。世界的な問題になっている、プラスチックごみ(プラごみ)による環境汚染の一因となるのだ。「不織布マスクはプラスチックだから、きちんと処理しなくてはいけないと知ることが第一歩。わかりやすく表示したり、啓発したりすべきです」と原田さん。

 香港に拠点を置く海洋保護団体「オーシャンズアジア」の推計によると、2020年に海に流出したマスクの数は、15億6000万枚に上る。世界の年間製造量520億枚の3%に当たるという。

 「マスクだけではありません」と原田さんは強調する。「コロナ禍は、プラごみの問題全体を、改めてあらわにしたと言えます」

 マスクなどの医療系のごみのほか、巣ごもり生活によるテイクアウトや通販、食品の個包装などで、プラスチックが大量に使われることになった。

 原田さんらは、コロナ禍の影響を調べるため、全国の都道府県庁所在地に、ごみの量のデータ提供を依頼。2020年4月~6月と、19年4月~6年を比較すると、「容器包装プラスチック類」は10.5%増えていた(回答のあった36自治体のうち、容器包装プラスチック類を個別回収しているのは26自治体)。

 「コロナ禍で、家庭からのプラごみは増えました。今後、社会・経済活動が回復すると、事業系のプラごみが増えてきます。そうすると処理はパンクします」

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