楽しみながら、地域のポイ捨てごみを減らそうという取り組みが各地で広がっている。ゲームやスポーツの要素を取り入れてごみ拾いに対するハードルを下げ、身近な社会問題への関わりを促す。
「トラッシュ(ごみ)・オア・トリート!」。10月30日、浜松市中区の佐鳴湖北岸に仮装した親子連れら117人が集まり、ごみ袋やトングを手に掛け声を唱和した。
ハロウィーンに合わせて富塚協働センター(同区)などが開いたイベント。チームごとに佐鳴湖周辺を巡り、競い合ってごみを拾った。富塚小4年の前田彩羽さん(9)は「吸い殻が多かった。いいことをした気分」と笑顔を見せた。
参加者が体験したのは、ごみ拾いとジョギングを合わせた新スポーツ「プロギング」。環境美化に加えて健康増進や交流も期待でき、世界各地で楽しまれているという。今回のイベントを共催し、浜名湖などで活動する「プロギング浜松」の久米秀幸代表(54)=同区=は「開催を重ねるにつれて、多くの人とのつながりが生まれている」と手応えを語る。
東京都のスタートアップ(新興企業)「Gab」の山内萌斗社長(21)=浜松市西区出身=は、ごみを拾えない時でも環境美化に貢献できるアプリ「MyGOMI.(マイゴミ)」を開発した。ごみを見つけたらアプリを開き、個数や位置情報を報告。データの蓄積からごみが捨てられやすい場所が分かり、街清掃の最適化につながる。昨年5月にリリースし、登録者は約1450人、データは約13万件に上る。
同社はマイゴミのデータを生かし、ごみ拾いイベント「清掃中」も企画運営する。「吸い殻30個で黄金のトングと交換」などの任務が与えられ、ゲーム感覚で熱中できる仕掛けが人気だ。これまで長野県で11回開き、延べ約650人が参加。6割が小学生という。
企画の根底にあるのは、身近なはずのごみ問題に多くの人が無関心という問題意識。山内さんは「正しさより楽しさを大事に、足もとのポイ捨て問題に気づくきっかけをつくりたい」と強調する。
■ポイ捨て対策 「拾う人を増やす」
環境教育などに取り組む浜松市のNPO法人「エコライフはままつ」が2020年に市内と東京都内で各30回行ったごみ拾い調査では、浜松市西区の市西部清掃工場周辺で1267個、東京都練馬区で1879個のごみを回収した。ごみの種類はビニール袋や菓子袋など、プラスチックごみが上位を占めた。
同NPOの高根美保事務局長は「プラスチックは処理されなければ自然界に残る。排水溝に入り、雨水とともに川や海へ流れ、海洋プラスチックとなって環境を壊してしまう」と指摘。その上で「ごみを捨てる人と拾う人は異なる。現実的な対策のためには拾う人を増やすことも大切」と話す。
<メモ>一般社団法人「プロギングジャパン」(東京都)によると、ジョギングとごみ拾いを組み合わせた「プロギング」はスウェーデン発のSDGs(持続可能な開発目標)フィットネス。同国のアスリートが2016年に始め、世界に広がった。ごみを拾う動作により高い運動効果が期待できるほか、コミュニケーション促進にもつながるとして日本でも普及が進む。
からの記事と詳細 ( 楽しみながらごみ減らそう ポイ捨て問題、ゲームで身近に|あなたの静岡新聞 - @S[アットエス] by 静岡新聞 )
https://ift.tt/3EQzeSn
No comments:
Post a Comment