藤元明は、アートだけではなくファッション、建築、アクティヴィズムなど幅広く活動しているアーティストだ。《TOKYO 2021》や《FUTURE MEMORY》、都市の余白を利用するプロジェクト《ソノ アイダ》など、企業や、他のアーティスト等とも協力し、社会への接続を試みるアートプロジェクトを展開している。
今回の展覧会「海ごみのあと」では、海ごみという途方もない問いにどのように向き合うかを表現。これまで《NEW RECYCLE》をテーマに日常の無駄・余剰をアートで昇華してきた藤元が、自ら海岸や海上に足を運んで採取した映像と、実際の海ごみやその再生素材を用いた作品を展示する。
《Last hope(海ごみのお好み焼き)シリーズ》は、実際に海岸に漂着している海ごみ(海洋プラスチック)を溶かして描かれている。今回発表される新作は、訪れた海岸で炭火を焚きその場で溶かして制作した。大量に打ち上げられた海ごみは、2019年9月に訪れた時より明らかに増えていたという。
また、2020年10月には海洋研究開発機構(ジャムステック)の海洋調査船に乗船。海ごみ調査の現場からさまざまなインスピレーションを得ており、ごく微細なプラスチックごみが流入していると言われる海面の映像を湧き出る泉のように表現した《Fountain#Neustonplastics》は、私たちの目には確認できないマイクロプラスチックの存在を想起させる。
藤元は、“安くて便利”を求める我々の欲望と地続きにある解決できない環境問題と、SDGsやサステナビリティすらも形骸化してしまう現状を“悪者のいない絶望”と呼び、その先の価値観を探ってきた。同展では、海ごみの“痕跡としてのあと”と“事後としてのあと”をコンセプトに、それらの絶望に対し沢山の協力者と共に向き合う。ポップかつ明快な藤元の表現は、様々なレイヤーで我々の意識を開き、「関心」という小さいけれども重要な前進となるはずだ。
藤元明個展「海ごみのあと/ Trace of Marine Debris」
開催期間/2021年5月5日(水)~16日(日)
開催時間/12:00~19:00
会場/エレファントスタジオ(elephant STUDIO) 東京都渋谷区渋谷2-7-4
1F・2F
入場料/500円以上の⾦額を、ゲストが決定するドネーションシステム
・500円をミニマムに入場料を自身で決定し、それが若手アーティスト支援のためのドネーションとなるシステム。2021年12月に開催される未来を担う若手アーティストに発表の場を提供し、サポートすることを目的としたアートコンペティションに寄付される
・5月9日(日)はエントランス無料
・入場はアポイント制。要予約
http://www.watowa.jp/news/index.html
Text: Aya Hasegawa
からの記事と詳細 ( アートを通して、海ごみに向き合うエキシビションが開催。 - VOGUE JAPAN )
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