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Friday, October 9, 2020

社説 核のごみ処分場 原発との決別を前提に - 信濃毎日新聞

 「核のごみ」処分事業が動き始めた。

 北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が、最終処分場選定作業の第1段階となる文献調査の受け入れを決めた。

 国と電力大手は原発利用を続け使用済み核燃料を再処理し、核のごみを増やしている。引き受け手のなかった処分場の立地に、人口減と高齢化が進み、産業が先細りする町村が、地域の存続をかけて手を挙げたかっこうだ。

 核のごみは、使用済み核燃料の再処理で生じた廃液をガラスと混ぜて固化体にしたものを指す。人が短時間で死に至る放射能を帯びており、数万年以上も地下深くの岩盤に埋め、放射線レベルを低減させる必要がある。

 核のごみは現在、2500本。各地の原発が貯蔵する使用済み核燃料を再処理すると、さらに膨らむ。4兆円を投じる処分場に収容できるのは4万本程度という。気の遠くなる歳月、周囲が汚染される不安が付きまとう。

 処分場は、どこかに造らなくてはならない。前提として、国と電力大手は、原発の利用期限を明確に区切り、排出されるごみの総量を把握した上で、自治体に協力を求めるべきだろう。

 国民の反対を顧みず、破綻が明らかな核燃料サイクル政策を維持する一方、多額の交付金をぶら下げて疲弊する自治体を誘導するような手法自体、看過し難い。

 政府は、第2段階に入る前に知事や市町村長が反対すれば、選定作業は中止するとしている。最終処分法には、意見を「尊重する」としか規定されていない。本当に引き返せるのか。

 寿都町と神恵内村は日本海に面し、北海道電力泊原発に近い。原発関連の交付金を受け取り、関連施設で働く住民も多い。こうした事情を勘案しても、今回の町村長の判断は性急に映る。反対意見は根強い。分断を招けば、それこそ地域の存続が危ぶまれる。

 「もう少し各地の自治体にも手を挙げてほしい」。政府からしれっとした声が漏れる。国は矢面に立たず、合意形成を丸投げするのでは無責任に過ぎる。

 核のごみは、国民一人一人が電力を享受してきた結果、生じている。北海道の問題として突き放すことはできない。

 政府に処分方法や選定作業の情報公開を求め、これ以上、核のごみを増やさないエネルギー政策の抜本的な転換を迫りたい。人口減や財政難に苦しむ地方の窮状に付け込み、国が自治を翻弄(ほんろう)するような事態を許してはならない。

(10月10日)

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