瀬戸内海の海ごみ削減に向け、岡山県漁連が岡山県などと連携し、底引き網漁で混獲された海底ごみの回収を促進する新たな事業に乗り出した。45リットルのごみ袋1袋分の回収につき漁業者に協力金として500円を支給する試み。来年2月まで行い、効果や課題を踏まえて今後の対策を検討する。9日、浅口市の寄島漁港沖合で報道陣向けの見学会を開いた。
岡山、広島、香川、愛媛4県と日本財団(東京)でつくる瀬戸内オーシャンズX推進協議会の助成事業として実施。日生町(備前市)牛窓町(瀬戸内市)朝日(岡山市)胸上(玉野市)黒崎連島(倉敷市)寄島町(浅口市)大島美の浜、笠岡市(同市)の岡山県内8漁協から希望する漁業者計132人が参加し、今月1日から取り組んでいる。総事業費は約800万円で、同協議会が約600万円を負担する。
県内の各漁協ではこれまでも、海底ごみ専用のステーションを漁港に設置。漁業者に自主的な回収を呼びかけてきたが、分別や陸揚げの負担感から海にリリースされることが多かったという。実際、県漁連が10月に漁業者を対象に行ったアンケートでも「海底ごみを必ず持ち帰る」との回答は約3割にとどまった。
見学会では地元漁師の大室欣久さん(44)が混獲ごみの分別・回収を実践。底引き網を引き揚げると、魚介類に混じって空き缶やプラスチック袋が次々に見つかった。以前から自主的にごみを持ち帰っているという大室さんは「ごみ回収はとても手間がかかり、少しでも収入になるのはありがたい」と話した。
瀬戸内海への海ごみ流入は年間約4500トンとされる。岡山県循環型社会推進課は「海底ごみの回収には漁業者の協力が欠かせない。事業を通じて必要な支援や新たな対策を模索したい」としている。
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