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Thursday, November 23, 2023

<社説>核ごみ調査3年 仕切り直しの議論必要:北海道新聞デジタル - 北海道新聞

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡る後志管内寿都町と神恵内村での文献調査が開始から3年たった。

 原子力発電環境整備機構(NUMO)による調査は目安とした2年間から大幅に延びた。一方、調査結果をまとめた報告書は年明けに公表される見通しで、調査は大詰めを迎えている。

 ボーリングなどを行う次の段階の概要調査に進むかどうかが焦点となるが、見通せていない。

 最終処分場選定は国民的議論の下、科学的知見に基づき、公正、公平に進めなければならない。

 国が多額の交付金で最終処分事業へ誘導する手法は問題が多い。仕切り直すべきである。

 概要調査に進むには首長と知事の同意が必要となる。片岡春雄寿都町長は住民投票で最終判断するとしているが、新たに調査を受け入れる第3の自治体が現れることを条件としている。

 その候補だった長崎県対馬市では9月、市長が調査に応募しないことを表明した。NUMOは全国行脚しているが、手を挙げる自治体は出ていない。

 鈴木直道知事は両町村が概要調査に進むことに反対している。

 国の選定プロセスは行き詰まっているのではないか。

 そもそも、地層処分を疑問視する専門家もいる。地質学者などの有志グループは先月、「日本に適地はない」として計画中止を求める声明を出した。

 地殻変動の激しい日本で、放射性廃棄物が無害化するまでの10万年間、地下に封じ込めるのは不可能だと指摘する。

 日本学術会議は廃棄物を地上に50年間、暫定保管し、最終処分のための合意形成や適地選定、リスク評価を行うよう提言している。

 最終処分の前提となる核燃料サイクルは事実上破綻している。にもかかわらず、岸田文雄政権が原発推進へかじを切り、処分場選定に前のめりなのは、合理性を欠くと言わざるを得ない。

 現状では処分場選定が北海道だけの問題と見る道外の自治体が多いのではないか。国会で議論し、国民の関心を高める必要がある。

 地層処分は妥当な方法なのか、処分可能な場所はあるのか、もしあるなら最適地はどこなのか。多角的な検討が欠かせない。

 10万年後の日本を誰も想像できない。核のごみが未来の人類や環境に影響を与えないと断言はできまい。後世に禍根を残さない議論をすべきである。

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