フランスで回収されずに山積みになったゴミ(写真:Bloomberg)
フランス・パリでは、路上に山積みになった悪臭を放つゴミの山の回収がようやく始まった。
政府が打ち出す法定年金受給年齢を62歳から64歳に引き上げる年金改革法案に抗議する運動は、公共サービスであるゴミ収集作業職員にも広がり、パリ市だけでも約1万トンのゴミが未回収のまま積み上げられ、パリ市に生息するとされる500万匹のネズミが街に繰り出す事態となっていた。
法案成立後も止まらない抗議活動
今年1月10日にフランス政府が発表した年金改革法案に対して、最初の全国規模の抗議運動が起きた1月19日以来、デモやストライキは3月28日で10回目を迎えた。世論調査では改革反対運動に50%以上の支持が集まり、3月19日のフランス週刊誌ル・ポワンの世論調査では、法案撤回の野党の動議に74%が支持を表明していた。
だが、国民議会(下院)では20日、野党が超党派で提出した内閣に対する不信任案が僅差で否決され、それによって年金改革法は成立した。
それでも国民の反対は根強く、抗議デモが激化。23日の9回目の抗議運動では、全国で1月に抗議運動が始まって以来、フランス内務省の発表で過去最多となる109万人が参加し、28日の10回目の抗議運動にも93万人が参加した。
製油所の封鎖、高速道路や環状道路の封鎖、鉄道網の混乱、発電所のストでの停電、教員のデモ参加による学校閉鎖と、影響は多岐にわたっている。議会で過半数を持たないマクロン政権は求心力を失い、政権運営は危機に瀕している。
法案が成立しても国民の怒りが収まらない理由は主に2つある。
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