2020(令和2)年度の福島県の一般ごみのリサイクル率が13・2%となり、47都道府県で最低となったことが環境省の最新統計で分かった。資源物が適切に分別されず、ごみとして捨てられるケースが多いことが主な要因とみられる。専門家は、ごみの分別や減量を促す実効性のある施策を行政が積極的に打ち出す必要があると指摘。福島県は県内市町村の取り組みの実態を把握した上で今春にも全国のごみ削減の先進地を調査し、成果を県内に波及させることでリサイクル率の向上を目指す。
リサイクル率は、ごみの排出量に対して資源として再生利用された量の割合を指す。環境省の2020年度一般廃棄物処理実態調査の結果は表の通り。本県は全国平均の20・0%より6・8ポイント低く、全国1位の山口県とは19・8ポイントの差が開いた。近年は40位台で推移し、今回の調査で最下位となった。
資源物には新聞などの紙類や段ボール、缶、ペットボトル、プラスチック、ガラスなどがある。これらが適切に分別されずに可燃ごみや不燃ごみとして排出されるケースが多いことが、リサイクル率低迷の要因とされる。さらに、県内ではごみの発生量が多い傾向にある。2020年度の県民1人の1日当たりのごみ発生量は1033㌘で、全国平均の901㌘と比べて約15%多い。県はこうした事情も背景にあるとみている。
近年、県内で資源物の分別、ごみ減量を促進する取り組みは増えつつある。会津若松市は6月と9月をごみ減量運動期間とし、市清掃指導員がごみ置き場に出向いて住民に適切なごみの出し方を呼びかけている。ただ、地域によって取り組みに差があり、県全体でみると、リサイクル率が向上しないのが実情だ。
県は各市町村の取り組みの実態を把握した上で、先進地として全国約30の市区町村を調べる。実効性などを踏まえて先進事例としてまとめ、県内市町村に提供していく方針。
ごみ問題に詳しい宇都宮大の高橋若菜教授は、一般の人がごみの分別や削減に取り組むための誘導策を行政側が積極的に打ち出すべきと指摘。「自治会や企業の優れた取り組みの表彰制度の導入、分かりやすい情報発信、ごみ処理の有料化などが有効」だとした。
リサイクルは国連の持続可能な開発目標(SDGs)と関わりが深い取り組みだ。リサイクルが進めば温室効果ガスの排出量削減などが期待される。県は2026年度までにリサイクル率を16%に引き上げ、2030年度には全国平均以上にする目標を県総合計画に掲げている。
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リサイクル率で全国1位の山口県は、ごみ焼却施設で出た焼却灰をセメント原料として再利用する体制整備が県全域で整っている。山口県の担当者はリサイクル率の高さについて「3R(リユース、リデュース、リサイクル)を推進する施策を早い段階から積極的に導入してきたことも要因として大きい」と語った。
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