長崎県の離島・対馬の海岸には国内外のたくさんのごみが漂着します。奥まった海岸には、何層にもごみが積み重なり、歩くとフワフワするところもあります。
「海ごみ問題を何とかしたい」と思い立ち、2013年度に有志と任意団体を発足させました。17年度には取り組みを拡充・発展させようと、一般社団法人「対馬CAPPA」を設立しました。
漂着ごみに悩まされるのは、対馬の海岸線の総延長は約915キロあり、位置や海流の影響で、日本海に流れ込むごみを受け止める防波堤のようになっているからです。
漂着ごみの総量は災害の有無や気象状況などによって毎年変動しますが、22年度は推計約7万立方メートルに上りました。対馬市は21年度には3億円近くを負担して回収・処分をしており、小さな離島の自治体には大きな負担です。
海ごみの約8割は外洋から、残る2割は国内のごみです。特に厄介なのが水に溶けないプラスチック系のごみです。ペットボトル、発泡スチロール、ポリタンク、漁網――。挙げればきりがありません。
法人設立後は、海岸清掃のボランティア団体を国内外から受け入れたり、回収した海ごみの分析・調査、日本と韓国の学生による海ごみに関する体験学習を企画したりしてきました。企業や清掃ボランティアの方々を海岸に案内すると、「こんなにあるんですか」と皆さん驚かれます。
大量のごみの撤去は人の手だけでは追いつかず、重機が必要な場所もあります。また、ごみを集めても、トラックで運び出す道がないといった課題もあり、回収は簡単ではありません。
ごみは生活から切り離すことができません。一朝一夕で解決しない問題だからこそ、政治家を含め、多くの人に現場を直接見てもらい、ごみの問題に目を向けてほしいと願っています。ごみを拾うことは、環境と向き合う価値ある行動です。生活を見つめ直し、課題や再生について考えることにもつながります。
厄介な海ごみの解決に向け、対馬に、海ごみやマイクロプラスチックなどに関する研究拠点が整備されることも望んでいます。国の枠を超えて共同で研究に取り組むことを通じて、環境問題を世界に発信することにつながるはずです。
そのためにも、選挙の候補者には海ごみの問題についても意見を交わしていただきたい。現場の声を国に届けてほしいと願っています。(島居義人)
からの記事と詳細 ( [語る 統一選2023]<3>海ごみ問題に向き合う時 「対馬CAPPA(カッパ)」 上野芳喜 代表理事 - 読売新聞オンライン )
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