AI(人工知能)は地球を救えるか――。海岸に漂着するプラスチックごみが最も多くなるタイミングをAIで予測する方法を、鹿児島大工学部の加古真一郎准教授(45)が、海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)と共同開発した。世界的に海洋プラスチック汚染の問題が深刻化する中、AI予測で効率的なごみ回収を実現し、プラごみ削減につなげるのが狙いだ。
海や川に流出したプラスチックは自然界ではほとんど分解されず、海中を浮遊しながら細かく砕けた「マイクロプラスチック」は生態系や漁業などに悪影響を与えると懸念されている。プラごみは漂着ごみの7割に及び、共同研究はその解決手段を探るため2018年ごろにスタートした。
仕組みはこうだ。まず、プラごみが漂着した海岸のサンプル画像約3500枚をAIに学習させ、そこに写るプラごみの重さや体積を推計させる。学習したAIに新たな画像を解析させると、ごみの量を瞬時に計算。データを時系列に並べると、当該海岸のごみの増減がグラフ化され、効率よく回収するタイミングが判明することになる。
海洋物理が専門の加古准教授は22年1月、鹿児島県南さつま市の笠沙海岸と同県日置市の吹上浜に定点カメラを設置。画像解析の結果、大潮の際は沖合にごみが流されやすいなどのパターンを見いだした。また、南さつま市職員が回収のタイミングが探れることで、市役所から車で1時間かかる笠沙海岸でも回収の「空振り」が防げるという。
23年度には同県・与論島にも4カ所カメラを設置し、島のごみ漂着パターンを探る。定点カメラ以外にも海岸全体の漂着量を調べるため、ドローンを利用。今後は人工衛星も活用して「東シナ海側」「太平洋側」といった、より広範囲での漂着ごみの動きも調べる。
加古准教授は「人手や時間がかかる回収作業の労力軽減が期待できる。また、プラごみを『見える化』することで、市民一人一人の行動が削減につながるというメッセージを伝え、プラに依存する社会から抜け出すきっかけにしたい」と話している。【梅山崇】
からの記事と詳細 ( ゴミ拾いはいつ? AIでプラごみ予測 効率的な回収で削減狙う - 毎日新聞 )
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