ごみ処理事業を共同で行う香芝市と王寺町が、新しい処理施設周辺の道路などの整備費用をめぐり対立している問題について、王寺町は、17日、王寺町側には、支払うべき債務が存在しないことを確認するよう求める訴えを起こしました。
香芝市と王寺町は、共同で組合を設立し、およそ40年にわたって香芝市内でごみ処理施設を操業していますが、現在、同じ場所で建て替え工事が進められている施設の周辺の道路整備など、「地元対策事業」の費用負担のあり方をめぐり、対立しています。
王寺町は、奈良県に自治紛争処理の申し立てを行いましたが、調停による解決の見込みがないと打ち切られたことから、17日、奈良地方裁判所に訴えを起こしました。
香芝市内の「地元対策事業」の道路などの整備費用として、香芝市と王寺町でつくるごみ処理の組合は、王寺町側に今後20年間で総額5800万円余りを支払うよう求めていますが、王寺町側は、▼整備事業はいずれも香芝市単独の事業で、▼支払いを求める根拠としている条例も、制定時の手続きが地方自治法に違反しているなどとして、支払うべき債務がないことを確認するよう求めています。
原告側の王寺町の平井康之町長は「この手の施設の更新には地元対策の必要性はあるが、これまではそれぞれの自治体で負担するというルールでやってきた。制定された条例は、香芝市内の公共事業も組合の事業と位置づけて王寺町に負担させようという趣旨であり、一切認めるつもりはなく違法だ」と述べました。
一方、被告側の環境施設組合の管理者を務める香芝市の福岡憲宏市長は、現時点では訴状が届いていないとしたうえで、「ごみ処理施設は香芝市に立地しています。王寺町が求める詳細はわかりませんが、施設建設にかかる関連事業などの費用は組合にて負担すべきであると考えています」とコメントしています。
【対立の経緯】
香芝市と王寺町は、ごみ処理事業を共同で行うために「香芝・王寺環境施設組合」を設立し、昭和57年から香芝市内でごみ処理施設を操業しています。
老朽化が進んだ施設は、平成30年度から同じ場所で建て替え工事が始まり、これに伴って香芝市内では、「地元対策事業」として施設の周辺に新たに市道などの整備が進められました。
この「地元対策事業」をめぐり、おととし(令和3年)6月、香芝市議会の関係者から、「経費を香芝市の負担だけでまかなうのは不公平なものがある」といった発言が出されました。
その後、おととし8月には、香芝市議会で、「新たな施設の整備に伴う地元対策事業の経費について、王寺町に適正な負担を求める」とする意見書が採択されます。
この意見書について、王寺町側は、香芝市内の道路などの整備は、香芝市単独の事業で王寺町側はその経費を負担できないなどと反論。
一方、香芝市側は、整備は香芝市単独ではなく、両自治体が設立した環境施設組合として行うものだと主張し、対立が表面化しました。
こうしたなか、両自治体の議員4人ずつで構成される環境施設組合の議会では、おととし10月、香芝市側の議員の提案で、両自治体が共同で処理する事務に「周辺地域に対して実施するコミュニティー施設や周辺道路などの整備」を盛り込んだうえで、これらの経費は双方の自治体が負担することを規定した条例案が4対3の賛成多数で可決されます。
去年(令和4年)10月には、この条例に基づいて環境施設組合と香芝市が新たなごみ処理施設の整備に伴う関連事業について覚書などを交わしました。
この中には、周辺の道路や地域交流センターの整備など、香芝市内の6つの「地元対策事業」の費用を事実上、王寺町側にも負担を求めることが盛り込まれていて、去年11月には、組合側が王寺町側に、今後20年間で総額5800万円余りを支払うよう求めるとする文書を送付しています。
王寺町は県に地方自治法に基づく自治紛争処理の申し立てを行いましたが、4回にわたる会議の末、調停による解決の見込みがないと判断され、打ち切られていました。
からの記事と詳細 ( 新ごみ処理施設 周辺の整備費用をめぐる対立で王寺町が提訴|NHK 奈良県のニュース - nhk.or.jp )
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