伊豆の海に流れ着いた買い物カゴを調べてみたら、なんと南九州のホームセンターで使われているものだった――。長距離を流れてきた海洋ごみが、Twitterで注目を集めています。
発見したのは、東伊豆城ケ崎海岸でダイビングインストラクターをしているtakuya(@takuya_sea)さん。カゴは1月20日に発見し、側面の文字から鹿児島を中心に展開されているホームセンター、「ニシムタ」のものだと分かったそうです。
沈んだカゴの様子を紹介した動画は、「鹿児島からそんな遠いところまで……」と話題に。自然の力に驚きながら、海洋ごみの問題を目の当たりにして複雑な気分にさせられる人も多く見られます。
その思いはtakuyaさんも同様で、海洋ごみの問題を憂いつつも、「風に吹かれ黒潮に乗り、また風に吹かれたどり着いたのでしょうか」と分析。「流れ着く生物だけでは明確にイメージできない、季節来遊魚のルートを感じさせてくれた」とも語っています。
そんな当事者のtakuyaさんに、発見時の状況など詳しい話を聞きました。
―― かごはどのような状況で発見されましたか?
takuyaさん: 発見したのは1月20日午前10時ごろのことで、海況は風が陸に向かって吹き、漂着ごみが流れ着きやすいコンディションでした。動画は回収しようと少し引っ張り下ろしたときのもので、発見時は水面に浮いていました。
―― かごはどんな状態でしたか
takuyaさん: フジツボの赤ちゃんがたくさん付着していた以外はかなりきれいで、おそらく短い期間で到着したものと思われます。
―― どういうルートで流れてきたと思いますか?
takuyaさん: いただいたリプライにも見受けられるように、カゴを盗んだ人が近隣で捨てたのかもしれませんし、船から落ちた可能性も捨て切れません。ほかにも、風で飛ばされた、不意に川へ落としてしまった――など、海洋ごみは本当にひょんなことから発生します。なんらかの事情により海に落ちたものが、冬時期ならではの季節風で沖に流されて黒潮に乗って北上して、20日に吹いていた伊豆の東側に吹き込む風により、沿岸に寄せられたものではないかと推測しています。
伊豆半島には毎年夏から秋にかけて、本来南方にいる魚の幼魚たちが台風や黒潮に乗って流れ着きます。こうした「季節来遊魚」が九州など南方から来ているのは知っていましたが、生物にはもちろんどこが産地などと明記されてはいません。今回ニシムタのおかげで「やはり南方の生き物は黒潮にのって流れ着くんだ!」というイメージが明確になり、感動しました。
―― ほかに遠方からの漂流物を発見したことはありますか?
takuyaさん: 漂着ごみの内容は風向きによってさまざまで、海外からのごみを回収することもまれにあります。ごみとともに生き物が流れ着く事もあるので複雑ですが、興味深く観察しています。面白いものでは、数年前にポケットピカチュウを見つけたことがありまして、それもTwitterでかなりの反響がありました。
―― Twitterで「ニシムタさんにこのカゴをお返ししたいですね!」と投稿されていますが、連絡はとっていますか?
takuyaさん: ニシムタさんに連絡をとってはいませんが、お返しできたらドラマチックだなとは思っています。
この出来事がきっかけで、地元で愛されるニシムタの存在を知り、「人生で行きたい場所が増えた」とツイートするtakuyaさん。2月には鹿児島へ行く予定があるそうで、これを機会に、長い旅をしてきたカゴがニシムタに戻ったら、きっと感慨深いことになるでしょう。
協力・画像提供:takuya(@takuya_sea)さん
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