視聴者の疑問をNHK静岡が調べる「たっぷりリサーチ」です。
(記者)
浜松市では、家庭ごみの有料化に向けた素案をまとめ、7月から市民の意見を募っています。対象となるのは燃えるごみと燃えないごみで、資源ごみは含まれていません。
これに関して投稿をいただきました。
(50代女性)
「ごみが減らない原因を洗い出して市民に見える化し、意見を求めるべきでは。
先の見えない物価高を考えると安易に市民に負担を強いる姿勢に疑問がある」。
(60代女性)
「生活が厳しいなかで、1枚45円のゴミ袋を市民に負担させるのはどういうつもりか浜松市に聞いて欲しい」
(記者)
「家庭ごみの有料化」ということば、どういうことなのか、こちらで説明します。
浜松市では、現在、指定のごみ袋を買う必要がありますが、その販売に伴う収入は製造業者や流通業者に入り、市の収入にはなりません。
有料化された場合には、袋の製造や流通を市が担い、袋代には製造費などに加えごみ処理費用の一部が上乗せされます。
ごみ袋代は、ごみ処理手数料として市の収入となります。
(キャスター)
市民からすると袋代が値上げされるというイメージでしょうか。
視聴者からの質問には1枚45円とありましたが、いまよりもどれくらい高くなるのでしょうか。
(記者)
市では、袋代は1リットルあたり1円を想定しています。
市が指定している45リットルのゴミ袋で45円となります。
市指定の45リットルのごみ袋は1枚10円ほどですので1枚あたりでは35円高くなります。
(キャスター)
4.5倍となるのは驚きですね。
(記者)
市の調査によりますと、4人世帯で、1か月に平均で45リットルのゴミ袋を9枚使ってゴミを出しているということなので、それに当てはめると現状では月の負担は90円から405円に増える計算です。
ただ、市は有料化によってゴミの10%の減量を見据えていて、4人世帯で言えば45リットルの袋1枚分減り、8枚分の360円が負担額となります。
現在の90円から270円の負担の増加です。
市は、有料化は財政確保が目的ではなく「市民に環境に意識を高めるため」だとしています。
(キャスター)
1リットル1円は、どこから出てきた数字なのでしょうか。
(記者)
全国の状況を参考にしたということです。
6割以上の自治体で有料化を実施していますが、浜松市と同じ政令市では、最も高いところで札幌市で2円、安いところでは千葉市と熊本市が0点8円。
平均すると1リットル1円になるということです。
ただ、県内のもう1つの政令市である静岡市は有料化をしておらず、浜松市民が負担感を感じるのはしかたないかもしれません。
(キャスター)
有料になった場合、収入はごみ処理以外にも使われるのでしょうか。
(記者)
ごみの減量や資源化につながる事業に活用するほか、有料化によって懸念される不法投棄などの対策に使うとしています。
(キャスター)
物価高が続き家計が苦しくなる中での有料化に向けた議論ですが、市はどうして検討をはじめたのでしょうか。
(記者)
国がゴミの減量や市民の意識向上を図るための施策として有料化を推進するなか、去年10月、浜松市の外部の有識者で作る審議会から、ごみ減量に向け市民の環境意識を高めるため有料化も効果的な手段であるとの答申をうけました。
また、外部監査でも、他の自治体に比べて、浜松市は有料化の動きが遅れているとの指摘を受けています。
有料化に伴ってごみの量が減れば焼却にともなう二酸化炭素の排出を抑えられ、今ある処理施設の寿命を伸ばすことにもつながります。
こちらは浜松市のごみの排出量のグラフです。
青色の部分、事業者からでるごみは、回収・処分は有料となっていることなどもあってやや減少傾向にあります。
一方で、オレンジ色の部分、家庭ごみは減量の呼びかけにもかかわらず、横ばいが続いています。
こうした状況を受けて環境問題を自分事として考えてもらうためにも市は検討を開始したということです。
(キャスター)
環境への意識を高めることは大事ですが、ゴミの量を減らすのはなかなか大変ですよね。
市はごみの量が減らない原因についてはどう考えているのでしょうか。
(記者)
ごみの分別の徹底が十分ではないととらえています。
先ほどお伝えした通り、資源ごみは有料化の対象となっていません。
市としては、今以上にごみの分別を徹底し、リサイクルできるものは再利用することなどでごみの減量を図れるのではないかとしています。
(キャスター)
ただ、有料化ありきで議論が進んでいると不安を感じている市民の方もいると思います。
その点、市はどう考えているのでしょうか。
(記者)
浜松市のごみ減量推進課鈴木浩之課長は「制度の内容等がわからなければ意見も出しようもないというようなご意見もあって、素案により内容を知った上で御意見をいただくことが一番重要かなと思っている。あくまで私どもとしても今回市民の皆様から御意見を伺った上で進めたいというふうに考えている」と話しています。
また、市では減量が難しい人たちへの配慮として、子育てや介護でおむつを使用している世帯などには指定のごみ袋を一定枚数配るとしています。
(キャスター)
環境への意識改善が目的ということはわかりましたが物価高が続く中、市民にとっては負担は大きいですよね。
(記者)
その点について、浜松市の鈴木課長は「物価高で家計に負担が生じている状況も十分承知している。市の環境審議会からの答申にも『社会経済情勢について十分配慮するように』という内容もあった。市としても市民の皆様のそういった現状に寄り添う必要性も当然あると考えていますので、そういった社会経済情勢を十分配慮した中で検討を進めていきたいと思っている」と話しています。
(キャスター)
今後のスケジュールはどうなっているのでしょうか?
(記者)市は市内各地で説明会を行うとともに市民からメールや郵便などで意見募集を10月7日まで行っています。
市民の意見をもとに、市として有料化を決めた場合、条例をつくるため議会で審議されます。
議案が可決された場合も、準備などがありで実施までは可決から最低でも1年はかかるとみています。
物価高が続き、家計の負担はさらに増えていくおそれがありますが、その一方で、環境問題は、私たちひとりひとりの問題として考えていく必要もあります。
今回の有料化の検討がごみをどう減らしていくか考えるきっかけになればと思います。
(キャスター)
環境問題も大切ですものね。暮らしに直接関わることなのでしっかり議論してほしいですね。
取材・解説/記者 渡邉亜沙
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