人工衛星を打ち上げた際に使ったロケットの残骸などのスペースデブリ(宇宙ごみ)が今後10年間で、地上に落下して死傷者を出す確率が10%に上るとの分析結果を、カナダ・ブリティッシュコロンビア大の研究チームがまとめた。宇宙開発の進展に伴い、ロケットの打ち上げ回数が増加。リスクが累積し、以前考えられていたより危険度が高まっていることが示された。
宇宙ごみは運用を終えたロケット本体や人工衛星の総称で、数ミリからバス程度の大きさのものもある。ロケットの残骸を巡っては、2016年に米スペースX社の燃料タンクがインドネシアに落下。中国の運搬ロケット「長征」の一部が20年にコートジボワールの2つの村に落ち、22年7月末にもフィリピン近海で同様の事象が発生した。
研究チームの論文によると、1992年から30年間で1500以上のロケットの残骸が軌道から外れ、うち約7割が制御不能になっているとみられる。
高度600キロ未満の低軌道上を周回し、落下する恐れがある残骸は651個あり、今後10年間に、それらが大気圏に突入し落下することによって死傷者が出る確率が、少なくとも10%になるとの分析結果が出た。これまでは落下のリスクは無視できるレベルと認識されていた。
米国ではロケットの打ち上げに際し、宇宙ごみで死傷者を出すリスクを1万分の1未満に抑えるとの要件がある。
だが、米空軍が2011~18年に行った66回の打ち上げのうち、半分以上が要件の適用を免除されており、論文は「(判断が)恣意的」と指摘。宇宙ごみを人口密集地から離れた海に落とす制御技術はあるが、コスト削減から採用しないケースが多いという。
また宇宙開発が盛んな米中の都市に比べ、メキシコやナイジェリア、インドネシアなどの低緯度に位置する都市の方が落下確率が3倍高くなることも判明した。〔共同〕
からの記事と詳細 ( 宇宙ごみで死傷確率10%、カナダの大学推定 リスク累積(写真=共同) - 日本経済新聞 )
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