Pages

Saturday, March 19, 2022

「人命にも関わる」充電式電池による火災、ごみ処理施設で頻発…リスク大きく撤退する業者も - 読売新聞オンライン

 宇都宮市茂原町のごみ処理施設「クリーンパーク茂原」は、2月に発生した火災の影響で運転を休止し、今も復旧の見通しが立っていない。出火原因は不明だが、ごみにリチウムイオン電池が混入した可能性も指摘される。充電式電池による火災は全国のごみ処理施設で頻発しており、各自治体は「必ず分別して」と声を強めている。(安田英樹)

 クリーンパーク茂原の火災は、可燃ごみを貯留する「ごみピット」で発生。出火当時、クレーンでごみを 攪拌かくはん する作業中で、衝撃でリチウムイオン電池やスプレー缶、ライターなどから発火した可能性が考えられる。市は被害状況を調査しているが、復旧費や休止中の焼却委託費などで巨額の経費がかかるという。

 リチウムイオン電池は、スマートフォン、タブレット、ゲーム機、電動歯ブラシ、充電式掃除機など多様な製品に使われている。通常は使用後、家電量販店などの回収箱に持参する必要がある。強い圧力や衝撃が加わると発火や爆発の危険が高く、ごみとしては出せない。

 しかし、リチウムイオン電池を原因とするごみ処理施設の火災は近年、全国で頻発している。京都市では2019年、破砕したごみを運ぶベルトコンベヤーが焼損。デジタルカメラの電池が原因だった。同市では20年度、ごみ処理施設で小規模の火災が208回確認され、火元が特定できたうちの95%が、リチウムイオン電池を中心とする充電式電池だったという。

 自治体が回収に乗り出すケースも増えている。高松市は、ごみ処理施設などの火災が多発したことから、20年、多数の市有施設に回収箱を設置。市の担当者は「製品に電池が入っていることを知らずに捨てる人もいる。市としては啓発に力を入れるが、企業や消費者も意識を高めてほしい」と訴える。

 影響は民間のリサイクル業者にも及ぶ。公益財団法人「日本容器包装リサイクル協会」(東京都)によると、協会が契約する35社のプラスチック容器包装再生処理施設で、20年度に285件の発煙・発火が発生。原因が判明したもののうち62%は、リチウムイオン電池などがそのまま混入、36%は電池が入った状態の加熱式たばこなどが混入したケースだった。同協会は「火災は施設の焼損だけでなく人命にも関わる。リサイクルの必要性が高まる時代だが、リスクが大きくて撤退する業者もいる。リチウムイオン電池による火災を防ぐのは喫緊の課題だ」とする。

 鹿沼市で17年に発生したごみ処理施設の火災も、リチウムイオン電池が原因とみられている。市の担当者は「同様の火災はどこでも起こりうるし、人ごとではない。電池は種類によって処分方法が違い、自治体の回収方法も変わってくる。大事な施設を安全に長持ちさせるため、迷ったら自治体に問い合わせて正しく処分してほしい」と呼びかけた。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 「人命にも関わる」充電式電池による火災、ごみ処理施設で頻発…リスク大きく撤退する業者も - 読売新聞オンライン )
https://ift.tt/8MLEwHN

No comments:

Post a Comment