食品包装や家電などに使われるプラスチック。軽くて耐久性が高く、加工しやすいため日常生活に欠かせない。一方で、自然環境では分解されず、半永久的に残ってしまうため、SDGs(持続可能な開発目標)でも大きな課題に上がる。プラスチックとどう共存すればいいのか。新潟県内のリサイクル現場を訪ね、考えた。
ベルトコンベヤーで次々と流れてくるプラスチック製の容器や包装。民間施設の新潟プラスチック油化センター(新潟市東区)には、新潟市内の五つの区から1日平均約16トンの廃プラスチックが搬入される。市から委託され、選別作業を行っている。
作業員4人が汚れた容器や紙くず、小型家電など、リサイクルに回せないものを手際良く取り除く。その後、市内の再商品化工場に送られる。市橋徹所長(43)は「プラスチックはごみではなく資源だ」と強調する。
一般社団法人プラスチック循環利用協会(東京)によると、家電なども含めた2019年の国内プラスチック総廃棄量は850万トン。そのうち726万トンがリサイクルされている。
とはいえ、製品化で再生利用されるのは、総廃棄量の約2割相当の186万トンにとどまる。大半は焼却処理され、熱エネルギーとして温水や電気などに利用されている。焼却時に二酸化炭素が排出されるため、地球温暖化の一因ともされる。
適切に処理されずに海へと流出するプラスチックも多い。海洋汚染は漁業や観光など地域経済への打撃にもつながると懸念されている。
プラスチックは多くの生活用品に使われており、一切使わない生活は現実的には難しい。「消費者によるプラ削減には限界がある」と話すのは、田上町のパート職員の女性(40)。買い物ではエコバッグを使っているが、「ほとんどの食品はプラの個包装。メーカーや店で減らす工夫があるといい」と望む。
4月1日、大手スーパーやコンビニなどに使い捨てプラ削減対策を義務付ける「プラスチック資源循環促進法」が施行される。プラスチックに代わる製品の開発や使用も期待される。
新潟薬科大応用生命科学部の小瀬知洋准教授(46)は「使い捨てプラスチックの使用は、消費者が避けられないことが多い。削減策はメーカーが考えることだ」と指摘。「プラスチック製品に代わるものはコストがかかる。消費者にも環境を守るためと、費用負担を受け入れる意識が必要だ」と話した。
◆1人が出すプラごみ「1週間169グラム」
家庭内でプラスチックごみの削減などに取り組む市民でつくる「新潟友の会」(新潟市西区)は、2019年12月から7カ月間、会員26世帯で家庭のプラスチックごみ量を調査した。
調査結果は、1週間平均で1世帯当たり388グラム、1人当たり169グラム。ごみ量が分かったことで、会員がプラ包装を意識した買い方を考えるようになったという。
その後の勉強会では「瓶入りの調味料を選ぶ」「フィルム包装の不要なダイレクトメールを断る」などのアイデアを出し合った。プラ製品の代わりに、新聞紙を使ったごみ袋や、ジュート(黄麻)を編んだ食器洗い布などの製作にも取り組んだ。
副リーダーの岡田聖子さん(57)=新潟市西区=は「買いすぎず、使い切るという意識を持つことが、SDGsにもつながるのではないか」と話し、今後も一人一人ができるプラ削減策に取り組んでいくつもりだ。
(報道部・布川舞子)
からの記事と詳細 ( 連載[ここからSDGs]<7>プラごみ削減 - 新潟日報デジタルプラス )
https://ift.tt/duNapgC
No comments:
Post a Comment