台東区蔵前でコーヒー豆店「焙煎処(ばいせんどころ) 縁(えん)の木」を営む白羽(しらは)玲子さん(49)らが、コーヒーのごみを有機質肥料づくりに活用するプロジェクトを始めた。障害者も参加して、蔵前エリアで循環型社会を目指す取り組み。インターネットで支援を求めるクラウドファンディングで七月十日まで、百十万円を目標に活動資金を募っている。(井上幸一)
プロジェクトは、コーヒーの消臭効果に着目。蔵前地域のカフェでコーヒーをドリップする際に出る抽出かすや、焙煎前後に取り除く虫食い、未成熟、かびが生じた欠点豆を、地域の福祉作業所で働く人たちに集めてもらう。
これらの材料を、非化学肥料造りを事業化した畜産機械器具メーカー「四国ケージ」(愛媛県)に送り、鶏ふんと混合。臭いを大幅に押さえた肥料「+Coffee(プラスコーヒー)」を製造する。肥料は縁の木が販売、家庭でのガーデニング、企業の屋上緑化などに活用してもらう。
白羽さんは二〇一四年に縁の木をオープン。次男が知的障害を伴う自閉症と診断されたことや、母の急死がきっかけで、「親が亡き後に障害者が働ける場所を」と考えたという。店では障害者の就労訓練を受け入れ、福祉作業所で生産された焼き菓子、コースターなどを販売している。
コーヒーのごみの肥料化は、大手コーヒーチェーンが手掛けているが、個人店や地域での取り組みは珍しいという。「障害者が回収を担うことで、地域の人たちとつながり、交流できる。将来的には一般家庭からも抽出かすを集めたい」と白羽さん。「コロナで大変な時期だからこそ、地域を元気にしたい。学校で肥料を使ってもらえば、環境学習にもなる。蔵前が、食と地域の循環モデルになれば」と話している。
縁の木は現在、休店中。クラウドファンディングのサイトは、「縁の木」「クラウドファンディング」「肥料」で検索。
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