家庭ごみは大幅増、事業所のごみは激減…東京23区における今春のごみの量を調べると、自粛社会の様子があらためて浮き彫りになった。

東京23区清掃一部事務組合によると、今春の可燃ごみの総量(速報値、不燃など除く)は減っていた。2月24日~5月3日、4月27日~5月3日のいずれの期間とも、前年同期比で93%台だった。家庭分だけをみると大型連休期間中で106・2%だが、事業所分は63・4%と激減した。企業や店舗などから出る分は2月最終週からの長期でみても74・4%にすぎない。在宅勤務、営業自粛など経済活動の停滞から想像できたこととはいえ、ごみからも影響の深刻さがうかがえる。

一方で、巣ごもり生活が続く家庭から出るごみは、異例の多さとなっている。23区で人口が最も多い世田谷区によると、4月は可燃ごみが前年比で約113%、不燃124%、缶や瓶133%、ペットボトル137%、古紙127%と軒並み大幅に増えた。同区はここ数年、前年比で微減が続いていた。これほどの前年比増について担当者は「前例がないほど。収集車の稼働を増やしても、予定の収集時間に遅れることも出ている」という。

練馬区も4月の前年比が、可燃で110%、不燃110%、缶127%、瓶124%、ペットボトル114%、古紙129%と増加。こちらもこの前年比について「今までにない」という。足立区は可燃で105%、不燃137%の増加だ。古紙は本や雑誌が含まれ、不燃ごみはガラス、鍋など金属、陶磁器、小型電化製品などだが、練馬や足立の担当者は、自粛期間に家の中を整理して増えたのではないかとみている。【久保勇人】

○…この状況下で、水の使われ方はどうだろうか。東京都水道局が家庭、事業所、工場などすべての契約先に給水する配水量でみると、4月の総配水量は1億2242万9600立方メートルで、前年同月比で約97・6%と減っていた。5月に入ると、12日までの実績では、昨年よりも微増となっている。料金の対象となる使用量ではないが、巣ごもり生活で家庭内ではこれまで以上に水を使っており、感染防止のため手洗いなどの頻度も高まっているはず。ここでも企業活動の影響が大きいのかもしれない。