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Tuesday, November 14, 2023

京都のごみ処理施設で「小規模火災」が頻発、問われる廃棄モラル - 産経ニュース

クリーンセンターで起きた火災原因として特定された充電式電池(京都市環境政策局提供)

京都市にあるごみ処理施設で緊急車両の出動に至らない小規模な火災が頻発している。ニュースとして扱われることはほぼないが、気がかりなのがその原因。電化製品のバッテリーとして使われている、リチウムイオン電池の誤廃棄が大半なのだという。センター側が注意しているのが、酷暑となった今夏に各地で見かけたハンディファン(携帯型扇風機)。季節が冬に向かう今、安易に廃棄する人が増えないか懸念されるという。

10月上旬、白煙が充満する京都市南部クリーンセンター(伏見区)の第2工場にサイレン音が鳴り響いた。約20台の消防車が出動し、火は約4時間後に消し止められたが、ごみを運搬するコンベヤーの一部が損傷した。

燃えたのは布団やじゅうたんなどを裁断し、コンベヤーでごみ貯留施設へ搬送する部分だった。「火元は分からないが、状況からみてリチウムイオン電池だろう」とセンターの担当者。スマートフォンなど身の回りの小型電化製品に多く使われているが、圧力を加えられ破損すると発火する危険性がある。裁断機の刃が、分別されずに紛れ込んでいたリチウムイオン電池に当たって発火したとみられるという。

京都市環境政策局によると、京都のクリーンセンターなどで起きた消防が出動しない程度の発火は、令和2年度は208回発生していたが、4年度は344回に増加。火元が確認できた発火のうち、その原因の約99パーセントがリチウムイオン電池などの充電式電池だった。同局の担当者は発火の増加について「リチウムイオン電池を使う小型で安価な製品が日常生活に増えた影響では」とみている。

そして酷暑となったこの夏、新たな脅威が浮上した。どこにでも持ち運べ、手軽な暑さ対策として人気を集めるハンディファン。涼を求めて持ち歩く人の姿が目立ったが、廃棄の際には安易な取り扱いをしないよう注意が必要だ。

京都市はハンディファンなど充電式の家電製品について専用の回収拠点での廃棄を求めているが、一般のプラスチック類として捨てられるケースが目立つとという。

ハンディファンに圧力を加え発火させる再現実験の様子(NITE提供)

独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)もリチウムイオン電池による事故増加を危惧している。NITEはハンディファンに圧力を加え、発火させる実験動画をホームページで公開。NITE担当者もリチウムイオン電池の誤廃棄により、ごみ処理場での火災につながっていると指摘し、「暑さが一段落つき、夏用製品の携帯用扇風機の廃棄が増える可能性が否定できない」と話した。

緊急車両が出動しない、小規模な火災だからといって見過ごされるわけではない。南部クリーンセンター担当者は「火災のたびに機器の損傷を確認する必要が生じ、業務への支障となる」と表情を曇らせる。

京都市は分別の徹底を呼び掛けている(市環境政策局提供)

実際に施設が大きく損傷すれば、修復には大きなコストが生じる。担当者は「啓発に力を入れているが、まだ周知が行き届いていない。きちんと分別して捨ててほしい」と呼びかけた。(荻野好古)

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