「ごみ屋として何かできないか」―。裾野市の一般廃棄物処分業者が、東日本大震災により各地で燃料不足になったことをきっかけに、廃プラスチックを原料にした油化事業に乗り出した。日本で初めてプラスチックから生成したリサイクル油の販売許可を国から取得。同社は「廃プラを油化して提供できる会社が各地にあれば、災害に強い国にできるはず」と見据える。
手がけるのはごみ収集業を担う豊富士商事。赤松剛社長(47)は2011年の東日本大震災時、同市に軽油が届きにくく、給油量が制限された状況を目の当たりにした。大分県出身で家から海が近かった赤松社長は海に浮かぶごみを見た子どものころの記憶を思い出し、「ごみを燃料にできれば世界中から資源が流れてくることになる」。油化事業着手の発端だった。
油化装置の開発をする会社を見学。装置を購入し、約7年かけてさまざまな資源で検証、機械の改良をした結果、3Pと呼ばれるプラスチックから軽油、ガソリン系のリサイクル油が生成できることにたどり着いた。
ただ、リサイクル油は軽油やガソリンとして認められておらず、道路交通法では使用不可。赤松社長は敷地内で使用する発電機やフォークリフト、重機などに着目し、21年に経済産業省からリサイクル油の販売許可が下りた。
赤松社長は6月ごろ、第1段階としてリサイクル油を災害時に役立てられないか裾野署に相談。今月上旬、同署と災害時に使用する資機材の燃料供給に関する協定を締結した。同署は東日本大震災クラスの大規模災害時、発電機やチェーンソー、エンジンカッターの燃料として、リサイクル油の提供を受けて使用する。清水正純署長は「警察が救出、救助活動をするには装備資機材の燃料が不可欠。力添えをしてくれることが心強い」と感謝した。
赤松社長は「プラスチック製品を使い終わった後はリサイクルに回す。その廃プラで油を作り、販売できるスタンドが各地にできるとリサイクル油を利用できる選択肢が増えるはず」。将来的にリサイクル油の普及を進め、自動車燃料として販売、消費される世界が理想という。
(東部総局・天羽桜子)
<メモ>3Pのうち、ペットボトルキャップのPP(ポリプロピレン)、ポリ袋のPE(ポリエチレン)からは軽油系、発泡スチロールのPS(ポリスチレン)からはガソリン系の燃料が生成できる。これら3Pのインゴットを分解釜に入れ、450~480度のヒーター熱で気化。水が入った水槽で冷却すると、液体となり、リサイクル油を回収する。1キロの資源から約1リットルの油分がとれる。
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