栃木県野木町と小山市で10日夜に発生した突風・大雨から24日で2週間がたった。被害は日に日に増え、21日現在、住宅被害は野木町が62棟、小山市が14棟で計76棟に上る。野木町内の畑では突風でビニールハウスがひしゃげ、果樹園にはひょうで傷ついた実が散らばる。町の農業被害は1億円を超えた。屋根にブルーシートをかけた住宅が複数見られ、災害ごみの片付けに追われる住民の姿も。突風と大雨が大きな爪痕を残している。
真夏の日差しが差し込む梨園。こぶし大の梨が真っ黒に腐り、無残に散らばっていた。同町友沼の「中村梨園」を家族と営む中村典子(なかむらのりこ)さん(63)。「今年は害虫や病気の影響がなく、すごくいい梨になると思っていたのに…。とても残念」と肩を落とした。
同園は幸水など4品種を63アールの畑で栽培。8月から収穫を控えていた。しかし、10日の荒天で実の半分が落下。ひょうで傷ついた実が今も落ち続けている。
「全滅です。葉も落ちてしまい、来年の梨にも影響を与えかねない」と吐露した。
同町によると、農業被害は60世帯で発生した。被害額は農作物が約2700万円、農業施設が約7600万円に上っている。
同町佐川野の「宝示戸農園」ではビニールハウス6棟が突風で壊れ、鉄材がひしゃげていた。撤去作業に当たる宝示戸寿弘(ほうじとかずひろ)さん(46)は「野木は災害が少ない地域だと思っていたのでショック」と話す。
再建には1500万円ほどかかる見通し。宝示戸さんは「修繕費の補助があれば助かる」と支援を求めた。
同町は5カ所に災害ごみの仮置き場を設置した。バラバラになったトタン、ブロック塀、家具…。町総合運動公園の一角には災害ごみが積み上げられていた。
物置が壊れ、棚などを捨てに来た同町南赤塚、主婦(74)は「少しは片付いてきたが、連日の猛暑で作業が思うように進まず、一人で作業するのは大変」と明かす。「今は自宅周辺の木が折れそうで、いつ倒れてくるか心配」と口にした。
県によると、カーポートなど非住家被害は野木町27件、小山市36件。住宅を含め、県の担当者は「被害の確定にはまだ時間がかかる」とこぼした。
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