●近隣住民「火事が怖い」
最大震度6強の地震に見舞われた珠洲市の災害ごみ仮置き場で、ごみの搬入ペースに焼却が追いつかず、山積みの状態が続いている。仮置き場は19日に市営野球場の駐車場から日本スカウトジャンボリー会場跡地に移るものの、これまでに運び込まれたごみが処分されるのは当面先になるとみられ、住民からは火災などの二次被害を懸念する声も上がっている。
蛸島町の市営野球場駐車場に設けられた仮置き場では、9日の開設以降、地震で発生した可燃粗大ごみをはじめ、廃木材、ガラスや陶磁器のかけら、コンクリート、瓦、壁材、金属くず、家電リサイクル製品の受け入れを続けてきた。
可燃粗大ごみを集めるスペースには、木製やプラスチック製の家具、布団などがうずたかく積まれており、ごみの「山」は18日時点で高さ約6メートル、幅約16メートル、奥行き約10メートルに。重量は約60トンと推計されるという。
仮置き場に集められた可燃粗大ごみは、能登町の奥能登クリーンセンターで焼却処理される。センターを運営する奥能登クリーン組合によると、災害ごみの受け入れ量は珠洲、能登両市町からの一般収集ごみの量に応じて調整しており、日によって異なるが、1日当たり6~7トンに限られるという。
仮置き場近くに住む蛸島町の70代男性は「火事が怖い。できれば早く処理してほしい」と心配そうな表情。同町にある実家の片付けに来ていた加賀市の男性(63)は「強い風が吹けば、ごみが飛んできてもおかしくない」と不安を口にした。
仮置き場を管理する石川県産業資源循環協会の関係者は、こうした住民の懸念に理解を示す。「乾燥した日が続けば火災が発生するリスクは当然ある。危機管理上、決して好ましい状況ではない」。同協会は災害ごみの処分スピードを上げるため、近隣自治体にごみの受け入れを打診するよう珠洲市に働き掛けているという。
1日最大35トンの処理能力を持つ輪島・穴水クリーンセンター(輪島市)は現在フル稼働しており、同市の担当者は「現状で受け入れる余裕はない」と説明。「珠洲から要請があれば検討する準備はある」としたが、どの程度の量の受け入れが可能かは不透明だ。
●余力ある自治体探す
珠洲市環境建設課の大宮準司課長は、県を通じて災害ごみを受け入れる余力のある自治体を探し始めたとし、「今後も災害ごみは出てくる。迅速に処理できる環境を整えたい」と語った。
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