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Thursday, May 11, 2023

[社説]海のプラごみ解決へ協調を - 日本経済新聞

プラスチックごみによる海洋汚染は深刻な地球環境問題だ。プラスチックの供給網は世界に広がり、ごみ問題は国境を越える。一部の国だけの努力では解決できない。国際協調が欠かせない。

2040年までに海に流出するプラごみをなくすことで主要7カ国(G7)が合意した。19年に20カ国・地域(G20)で決めた目標を10年前倒しする。

プラ製品のリサイクルの徹底や使用の抑制、代替品への切り替えなどを加速し、廃棄物削減につなげる。先進国が率先して課題に取り組む姿勢は評価できる。

河川や海に流出するプラごみは年間900万〜1400万トンと推定されるが、G7からの流出は2%ほどだ。中国やインドといった新興国、途上国からの排出が大半を占める。対策を世界に広げなければ実効性は薄い。

海洋プラごみは生態系や漁業、観光に打撃を及ぼすだけでなく、人体への悪影響も懸念される。対策が必要だという認識では、新興国や途上国も同じだ。

G7は札幌市で開かれた気候・エネルギー・環境相会合で、他国にも対策の強化を促し、支援することで合意した。まずプラごみを捨てずに回収し、適切にリサイクルする仕組みが欠かせない。新興国や途上国に対し、廃棄物管理の知見や関連技術を支援すべきだ。

同時に使い捨てプラ製品の使用を減らし、ごみを減らす対策も必要になる。大量消費の習慣からの脱却が迫られ、G7各国にとっても大きな課題だ。どうやったら効果が上がるのか、世界で情報を共有しながら対策を進めたい。

プラごみの排出や廃棄を規制する国際条約づくりも始まった。5月末にパリで開かれる政府間交渉で本格的な議論をはじめ、24年末までの合意を目指している。

日本は1人あたりの使い捨てプラスチック使用量が米国に次ぐ世界2位だ。以前はごみを東南アジアなどに輸出しており、責任は重い。国際交渉や途上国支援で主導的な役割を果たす必要がある。

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