ごみ拾いのボランティアの活性化にSNSを活用する取り組みが自治体で広がっている。コロナ禍で大人数が集まっての活動が難しくなる中、オンラインのネットワークが参加者同士をつなげる役割を果たしている。ゲーム感覚で気軽にできるといった効果も、普及に一役買っているようだ。(渋谷功太郎)
8月上旬の早朝、東京都港区の清掃ボランティア「クリーンナップフロンティア」代表の吉岡孝司さん(57)がトングとポリ袋を手に、1人で芝公園周辺のごみを拾っていた。約1時間でたばこの吸い殻約80本やマスクなどを回収。写真に撮って、ごみ拾いSNS「ピリカ」に投稿すると、すぐに「ありがとう」と反応が返ってきた。
昨秋からごみ拾いの活動を始めた吉岡さんは、コロナ禍も考慮し、自分の都合のいい時間に1人で活動している。「同じ目的の仲間とのつながりが感じられ、投稿への反応がやる気につながる」と笑顔を見せた。
「ピリカ」は、渋谷区のIT企業が2011年に開発したSNSだ。利用者はスマートフォンのアプリやウェブサイトから拾ったごみの数や写真を投稿すると、地図上に掲載される。投稿を見たほかの利用者は「ありがとう」ボタンを押して、感謝を伝えることができる。
港区は、コロナ禍を受けて個人による清掃活動を促そうと昨年7月からアプリを活用しており、吉岡さんも、区の勧めで利用を始めた。使って1年ほどだが、「自分の清掃記録が残るので、達成感があって、楽しく続けられている」と話す。
ピリカは個人の利用は無料で、115か国・地域で利用され、計2億5000万個以上のごみを拾ったという投稿があったという。
自治体や企業向け有料サービスとして、専用ページで特定エリア内の参加人数やごみの回収数を「見える化」できる仕組みもある。これを利用する自治体は19年時点では6県市だったが、現在は秋田県や京都府、三重県など全国16府県市区に拡大した。
ボランティア同士を結ぶ仕組みはほかにもあり、京都府亀岡市は「LINE(ライン)」の市公式アカウントを使う。市民らに、見つけたごみの種類や個数を地図上に投稿してもらい、街中にどれだけごみが捨てられているのかを「見える化」し、美化を呼びかける取り組みだ。
兵庫県の淡路島で17日から約1か月行われるキャンペーン「さんぽdeごみ拾い」(実行委員会主催)は専用ウェブアプリを活用する。参加登録をし、拾ったごみの写真を撮影して協力店で見せると、ポイントがもらえ、淡路ビーフの肉などが抽選であたる。過去2回で延べ約5000人が参加したという。
SNS活用には参加者の意欲向上の効果もある。
渋谷区では清掃ボランティアは団体が中心だったが、コロナ禍で参加団体が19年度の167団体から20年度には28団体に減少。そこで個人が主体となった活動を支援しようと、21年7月にピリカを導入した。
清掃用具の貸し出しの申し込みをピリカでできるサービスも併せて始めたところ、21年8月以降にごみ拾いに参加した人は1か月平均で約180人と、団体が中心だった頃の約2・5倍に増加した。拾われたごみの数は約1600個から約1万5500個と約10倍に増えた。
今年は、街中にごみが散乱することが多い10月31日のハロウィーンの時期にピリカを活用したイベントを計画しており、区環境整備課の青木正樹課長は「活動が定着し、街の美化につながれば」と期待している。
からの記事と詳細 ( ごみ拾ったらSNS投稿、すぐに「ありがとう」の反応…「達成感ある」参加意欲の向上にも - 読売新聞オンライン )
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