1975~1976年以降、アルジェリアのティンドゥフという場所に難民キャンプがある。モロッコ軍から逃れたサハラウィ難民と呼ばれる人たちが、9万人ほど暮らしているという(※1)。なかには、難民キャンプで生まれ育った人もいる。
サハラ砂漠にある同難民キャンプでは、雇用機会が限られており、人々は人道支援に大きく依存している。水や食料が運び込まれ、難民キャンプで出たごみは、砂漠のごみ捨て場で燃やされる。多くのごみが風で飛んでいき、砂漠に落ちたままになっている。
オランダの財団One Armyが展開する、プラスチックリサイクルのオープンソースプロジェクト「Precious Plastic」は、2021年にUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と協力し、同難民キャンプにリサイクルセンターを作ったと発表した。
リサイクルセンターでは、砂漠に落ちているプラスチックごみを加工して、ベンチやテーブルなどの製品を作る。Precious Plasticは、難民たちにリサイクルの方法を教え、同センターでの雇用機会を創出。ごみ処理の課題と、難民の雇用機会の不足という課題を解決しようとしている。
これまで作ったベンチなどは、難民キャンプ内の学校向けに販売されたという。今後も様々な製品を作り、難民キャンプ内外の人々に役立ててもらいたいという考えだ。
難民たちが故郷に戻れるようになるまで、長い時間がかかるかもしれない。それまで、新しいことを学んだり砂漠を綺麗にしたりして、自分も地球も大切にできるといい。
Precious Plasticはアルジェリアの他にも、海流に乗って漂着するごみが問題になっているモルディブや、輸出した廃プラスチックがプラスチック製品になって輸入されるナイジェリアなどでも、プラスチックリサイクルを推進している。地元の人がプラスチックごみから製品を作れるようになれば、物流コストを抑えられるというメリットもある。
世界にはさまざまな政治的、経済的危機があり、そこにごみ問題などの環境問題も絡んでいる。地域の特性やニーズに合わせた支援をすることを心がけたい。
※1 UNHCR – Tindouf camps planning figures
【参照サイト】A Big Bang for Plastic Recycling
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