ごみ収集車が近づいていることを市民に知らせる仕組みを作ろうと、愛知県日進市と名城大、名古屋大などが協力して実証実験を開始した。悪臭、野生動物による荒らし被害、収集後の「後出し」など、ごみを巡るさまざまな問題を解決する切り札にしたいという。【荒川基従】
同市では、ごみステーションへ午前8時半までにごみを出すルールだ。だが場所によっては収集が正午過ぎになり、悪臭苦情が出たりカラスなどの被害に遭ったりすることがある。一方、ごみステーションは市内に約1800カ所あり、収集が終わったかどうかの問い合わせ電話の対応に市職員が時間をとられている。
実証実験では、市内で稼働する約20台のごみ収集車全てにGPS(全地球測位システム)装置を設置。生ごみなどの「燃えるごみ」(週2回収集)、プラスチック製容器包装(週1回収集)、金属類(月1回収集)を対象に、収集車が近づいていることを市民に無料通信アプリ「LINE(ライン)」で知らせる。通知は到着の15分前程度を想定している。
「後出し」防止や、ごみ滞留時間の短縮などの効果を期待しており、早ければ2021年度中に一部地域で通知を始め、徐々に対象範囲を広げる。
こうした仕組みは、路線バスのバス停などで既に導入されており、簡単そうにみえる。だが実際には、ごみ収集車は道路工事や引っ越し車の駐車などで収集ルートを日によって変えたり、ごみが満タンになっていったん処分場へ運んだりすることがある。さらに、同じ収集車がいつも同じ収集ルートを受け持つとは限らない。
このため、24年3月までの約2年半、名城大理工学部の鈴木秀和准教授や名古屋大大学院工学研究科の米沢拓郎准教授らが実証実験を行って、間違いのない通知方法を開発し、ごみをめぐる諸問題にこの仕組みがどれだけ役立つかを検証する。市はその後、実際に導入するかを判断する方針だ。
この実験では、一部の収集車にPM2・5(微小粒子状物質)などを測定する環境センサーも設置し、市内をくまなく走行する収集車の特性を生かして市内の環境状態を把握する。鈴木准教授と米沢准教授は「収集車がごみ収集以上の市民サービスを生み出すことができるのではないか」と話している。
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