毎年のように発生する大きな自然災害で、大量に出る廃棄物の処理が長期間に及ぶことが分かった。 こうした災害ごみが公園、空き地などの仮置き場に山積みとなったままでは、地域の復旧・復興の足を引っ張る。 気候変動によるとみられる豪雨の頻発に加え、南海トラフ地震が高い確率で予測されている。災害ごみ処理を原則的に担う市区町村は、事前に処理計画を立てておく必要がある。被災地の早期再建への鍵とも言えよう。 2011年3月の東日本大震災以降に発生し、環境省のごみ処理事業の補助金対象となった災害延べ180件を、共同通信が調査したところ、処理に1年以上かかったのは延べ49件あった。 16年の熊本地震、18年の北海道地震では2年を超えた。対象災害の8割が台風・豪雨で、18年の西日本豪雨では広島県が2年8カ月、岐阜や兵庫、岡山、愛媛、福岡各県は1年以上かかっている。 災害ごみは、建材やコンクリート破片、土砂、家電、家具などさまざまで、中には発がん性のあるアスベスト、危険な化学物質、可燃性物質もある。 早く片付けることは、危険性の除去にとどまらず、住民の気持ちを前向きにすることにもなる。 災害ごみの処理は、一般に住民らが仮置き場に持ち込んだ後、焼却や埋め立てのほか再利用もされる。ただ、さまざまな種類が混じる大量のごみを分別するのに多くの時間やコストがかかっている。 そうした中で、初期から分別を徹底し、早期処理やコスト削減につなげた自治体もある。 宮城県東松島市では、東日本大震災の際に住民や業者に呼びかけた初期分別で、コンクリート破片を道路復旧に活用するなど、ごみの大半を再利用したという。 こうした工夫例を自治体間で共有し、連携・応援の仕組みを広げていきたい。 今年7月の静岡県熱海市の土石流被害では千葉県内の市職員が派遣されている。市職員は19年台風の際に他市の応援を受け処理にあたった。その経験をつないだと言える。 災害ごみの処理計画を作っていない市区町村は、3月末時点で全体の36%という。国や府県は人材育成を支援してもらいたい。自治体間だけでなく企業、NPOとの協力も欠かせない。 大地震や巨大台風がもたらす被害は数府県に及ぶ。広域的な視点から災害ごみ処理の事前準備を急ぐ必要があろう。
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