Pages

Saturday, October 2, 2021

ごみ処理場建設 暗礁 - 読売新聞

 奈良、大和郡山両市と斑鳩町が合同で進めていた新ごみ焼却施設の建設計画が、暗礁に乗り上げている。大和郡山市が3市町の協議から離脱し、現行施設の敷地で建て替える方針を示したからだ。一方、奈良市は、大和郡山市の現行施設近くの両市境での新設計画を撤回しない考えで、このままでは市境に二つの施設が並ぶことになる。事態は泥沼化の様相を帯び始めているが、ごみ処理広域化の旗を振る県は、静観する構えを見せている。(岸本英樹、一円正美)

不信感

 「奈良、大和郡山市境に2本の煙突が立つ。常識的に考えて良い施策とは思えない」。奈良市議会の9月定例会では、市議から計画の先行きを懸念する質問や意見が相次いだ。

 3市町は合同の勉強会を開き、ごみ処理の広域化を協議してきた。この勉強会は元々、大和郡山市が現行の「市清掃センター」(九条町)の耐用年限が2032年度までのため、その先の方向性を探ろうと生駒市、平群町に呼びかけて17年に始まった。その後、奈良市、斑鳩町が加わる一方、生駒市、平群町は、現行施設の耐用年数との兼ね合いなどから離脱した。

 勉強会では、奈良市が主導し、大和郡山市清掃センターから近い市境の奈良市七条町で、施設を新設する計画を打ち出した。ところが、近くの大和郡山市の8自治会は、この候補地でのごみ処理に反対する要望書を提出。大和郡山市は先月、「地域住民の理解が前提」として、勉強会から離脱、現行施設の敷地で建て替える方向にかじを切った。

 実際は、奈良市の進め方に対する不信感が大きかったといい、大和郡山市幹部は「奈良市が周辺住民の理解を得ないまま、環境影響評価など法的手続きをどんどん進めることに不安があった」と打ち明けた。

窮地

 窮地に追い込まれたのが奈良市だ。現行の「市環境清美工場」(左京)は、稼働開始から35年以上が経過し、耐用年数を大きく超える。現在は、年12億円程度をかけ何とか維持している状態で、新設は喫緊の課題だ。05年末に移転決定後、移転先の調整がつかず、足踏み状態が続いたが、大和郡山市などとの協議への参加で、「ようやく軌道に乗った」とみられていた。

 市は、今年度末を期限とし、大和郡山市に協議への復帰を求めて働きかけを続ける。候補地の七条町では環境影響評価も始まり、市は用地取得交渉や周辺住民への説明を続け、「斑鳩町との1市1町や、単独となっても、早期に現在の計画を進めたい」とする。

 一方、斑鳩町は奈良市との協議を継続する方針だ。

県、関与せず

 県は、人口減少が進む中で、「広域化による行財政効率の向上」や「ごみ処理の安定的な継続」などを掲げ、建設費用の一部を補助するなどしてごみ処理の広域化を促す立場だ。3市町の協議にも、オブザーバーとして参加していた。

 ただ、今回の事態について、荒井知事は9月末の定例記者会見で、「市長同士でよく調整してほしい」と述べるにとどめ、直接、関与しない意向を示した。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( ごみ処理場建設 暗礁 - 読売新聞 )
https://ift.tt/39Y04dZ

No comments:

Post a Comment