2021/07/02 05:46 ウェザーニュース
夏に向けてゴキブリが活発になり、発見する可能性も高くなります。あわてすぎて、してしまいがちな行動が新たな「悲劇」とならないために、害虫のプロにゴキブリ退治の正解を教えていただきました。
ゴキブリの生態に詳しいアース製薬研究部に訊ねると、「叩いたゴキブリを直接手で触れたりしなければ大丈夫」だといいます。
「ゴキブリの卵は卵鞘(らんしょう)という鞘(さや)に収められているので、叩いても卵が飛び散ることはないでしょう。ゴキブリが卵鞘を抱えて移動していた場合に、身体から離れる可能性はありますが、硬い殻に覆われているので簡単に除去できます」(アース製薬研究部・有吉立さん)
「ゴキブリを叩いたことで何らかの健康被害が出たという報告は、今までありません」(同・野村拓志さん)
「これは、やめた方がいいです。掃除機の中でゴキブリがバラバラになってしまいますし、掃除機内部が汚れたり、臭いがついてしまいます」(有吉さん)
「掃除機で吸われた成虫や幼虫は死んでも、卵は生き残ることがあります。見た目にはわかりにくいのですが、ゴキブリは卵鞘を持っていることがあります。以前に、掃除機に吸った30個中4個が生き残っていたという報告がありました。卵から孵った幼虫が、掃除機から出てくる可能性があるので、むやみに掃除機で吸うのはやめた方が良いでしょう」(同・野村拓志さん)
「ゴキブリは60℃程度のお湯で死ぬので、理論的には可能です。ただ、ある程度の量をかけなければならないので、すぐには仕留められません。また、何よりも人が火傷する危険もあるので、お湯はお勧めできません。
他にはボディソープやシャンプーなどもありますが、こちらもきちんとかかるとゴキブリに対して効き目はありますが、よくあるポンプ式などの場合は狙うのが大変なので、退治には向きません。
バスルームにあるもので効果的に使えるのは、浴室用洗剤です。ゴキブリにかけると、気門という呼吸する穴が塞がって窒息死します(滑らないように注意してください)」(有吉さん)
洗剤やシャンプーに含まれる「界面活性剤」がゴキブリに効くといいます。
「昆虫は体が油(ワックス)でおおわれています。特にゴキブリは『あぶらむし』と呼ばれる地域もあるくらいテカテカとしています。油は水をはじきますので、水をかけただけでは死ぬことはありませんし、溺れることもないです。
シャンプーやボディソープ、洗剤などは『界面活性剤』が入っています。界面活性剤というのは界面(水と油の境界面)を活性化(なじむようにする)もので、それにより油汚れや皮脂を落としてくれます。はじいていたものがまとわりつくようになり、体の周りにある気門を塞いでしまいます。そのためゴキブリは窒息してしまうのです」(有吉さん)
「新聞で叩く場合は、少し緩めに巻くと接触面が大きくなり仕留めやすいです。ただ、柔らか過ぎても力が伝わらないので、ある程度は固くしましょう。
狙うのは頭です。ゴキブリは、お尻の部分にある尾毛(びもう)で空気の動きを感知するので、後ろからでは素早く逃げられてしまいます。しかし後方に進むことはできないので、頭を狙えば当たりやすいのです。これは洗剤やスプレータイプのゴキブリ駆除剤を使用するときも同様です」(有吉さん)
ゴキブリの始末もやっかいです。
「動かなくなっても、気絶しているだけのことがあります。また、ゴキブリ自体に毒などはありませんが、病原菌が付着していたり、フンや死骸がアレルゲンとなる可能性があります。仕留めたらすみやかに始末しましょう。
ティッシュ越しでも触るのは嫌だという方も多いですが、ガムテープなどでくっつけてビニール袋に入れるのが簡単です」(有吉さん)
これからの季節、害虫対策は正しい情報を生かして上手に駆除したいものです。
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