「尻すぼみ」になった野党の追及
日本学術会議をめぐる騒動は、政府を追及する左派マスコミの中からも「負け戦」と認める声が出てきた。野党は追及ネタが尽きてきた一方、肝心の学術会議は政府に対して、将来のあり方を検討する方針を表明している。まさに「負け戦」の様相だ。
立憲民主党の枝野幸男代表は10月28日、衆院本会議の代表質問で学術会議問題を取り上げた。どんな新ネタが登場するか、と思って、私はテレビ中継を録画して見たが、中身はまるで拍子抜けだった。おさらいのように、同じ質問をしただけだ。
枝野氏は冒頭からえんえんと「彼らが目指す社会」を語り続け、学術会議問題に触れたのは、ようやく23分後だった。枝野氏は「推薦された方を任命しないのは条文上、明らかに違法」「任命しなかった理由は何か」「早く6名を任命して」などと訴えた。
菅義偉首相は「憲法15条第1項で公務員の選定は国民固有の権利と規定している」としたうえで「必ず推薦どおりに任命しなければならないわけではない点は政府の一貫した考え」「理由については、人事に関することで答えを差し控える」などと答弁した。
追及する側も答える側も、すでに報じられた内容ばかりである。
ただ、立憲の軌道修正も明らかになった。彼らは当初、声高に「学問の自由に対する侵害」と主張していたが、代表質問では学問の「が」の字もなかった。それは10月16日公開コラムで指摘したように、学問の自由を侵害していたのは、学術会議自身だったことがバレてしまったからだろう(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76462)。
学問の自由に対する侵害を主張しないとなると、話は単なる「政府の人事問題」に矮小化してしまう。首相に任命拒否を含めた人事権があるかどうか、であれば、あるに決まっている。もしないなら、学術会議は税金を使って、なんでも好き勝手にできてしまう。そんな政府機関を国民が認めるわけがない。
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