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Monday, March 9, 2020

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖 - 朝日新聞社

西へ東へ、海へ川へと旅して釣りする太公望たちの奮闘記です。魚との知恵比べ、釣った魚で一杯……。目的は人それぞれながら、闘いの後の心地よい疲労と旅情は格別。今回は、朝日新聞の西田健作記者が、東京湾でタチウオ釣りに挑みました。タチウオ釣りには一家言ある西田記者は自信を持って船に乗り込みますが、そうは問屋が卸さなかったのです。

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脂がのった指4本サイズを狙え!

東京湾の冬場のタチウオといえば、難易度が高い釣りものの一つです。夏は指3本幅ぐらいの太さのタチウオを浅場でたくさん釣ることができるのですが、冬になると深場に移動し簡単には針にかからなくなるからです。その分、サイズは大きくなって指4本幅が中心に。長さでいうと90㎝ぐらい。しかも、冬タチは脂がのって、夏タチとは別物のうまさなんです。

今年は東京湾の海水温がなかなか下がらず、タチウオが深場に集結するのも遅れがちだったのですが、2月になると、船宿さんの釣果欄にも深場での釣果報告が増えてきました。例年ならば、タチウオもシーズン終盤。釣り時を逃してなるものか、と2月下旬、冬タチに挑んできました。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

千葉県浦安市の船宿「吉野屋」。山本周五郎「青べか物語」の舞台にもなった老舗だ

一緒に行ったのは、釣友の長野剛さんと息子の鉄くん。鉄くんは2年ぶりの船釣りで、しかも東京湾のタチウオ釣りは初めてとのこと。難しい冬タチ。でも、初心者でも何匹かは釣れるでしょう。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

神奈川県横須賀市の猿島沖を目指す

今回お世話になったのは私の地元・浦安の吉野屋さん。出船は午前7時。船は湾奥から東京湾を縦断し、1時間余り航行して神奈川県横須賀市の猿島沖に到着しました。「幽霊魚」とも呼ばれるタチウオは移動が速く、昨日いた場所に今日はいないこともよくあります。まずは魚群探知機で群れを見つけるのが各地から集まった遊漁船の仕事。現場に着くと、先着した船が群れを捉えたようで、既に大きな船団を作っていました。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

タチウオを狙う船団が既にできていた

ポイントは水深60~70m、狙うは底近く

この日の水深は60~70メートル。タチウオは底近くにいるので、巻き上げが楽な電動リールを使います。タチウオによく行く剛さんと私は電動リールも竿(さお)も持っていますが、鉄くんは電動リールも竿も船宿さんのレンタル。うまく使いこなせるといいのですが……。

東京湾のタチウオ釣りは、細長く切ったサバやコノシロの身を使います。端っこの部分に針を刺し、竿を小さくしゃくることで、この切り身をヒラヒラと動かすのです。逃げ惑う小魚のように動かすことができれば、フィッシュイーターのタチウオがかじりついてくるはずです。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

タチウオの天秤(てんびん)仕掛け。おもりと並べて集魚ライトも

冬タチは夏タチのようには積極的に餌を追いません。なので、いかにタチウオの食い気を誘うように切り身を動かせるかが、冬タチ釣りの肝。初めての鉄くんには難しいかな、と思っていたら、まず曲がったのは鉄くんの竿でした。

竿が曲がるのは初心者 筆者、負け組入りか

いやいや、良かった。一安心。そう思っていたら、次に竿を曲げたのも鉄くん。コツをつかんだようで、次々とタチウオを釣り上げていきます。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

初心者のはずなのに、筆者の3倍のペースでタチウオを釣り上げる長野鉄くん(奥)

冬タチの面白さは、技量によって、勝ち組と負け組がはっきりと分かれることです。午前11時近くなって私はまだ3匹。一方、鉄くんは10匹。剛さんはその間ぐらい。タチウオは私が最もよく行く釣りものなのに、こんなはずでは……。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

筆者も指4本幅のタチウオをゲット

起死回生の竿チェンジ、成果は……

このままでは終われない。私は竿のチェンジを決断。鋭いしゃくりで餌をきびきびと動かせるようにと、予備に持ってきていた硬い竿を使うことにしました。さらに、餌をヒラヒラとさせる位置も高めに。魚探に映る群れは底から15mぐらいまでだったので、その上限で餌を動かし続ける作戦です。タチウオは上を向いて「ホバリング」していることが多いので、きっと視界に入るはず。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

長野剛さんは、イワシをまるごと縛ったテンヤでタチウオを釣り上げた

すると、次第にタチウオのアタリが増えてきて、劣勢を徐々に挽回(ばんかい)。午後2時30分の納竿までに、なんとか「つ抜け」の10匹にたどりつくことができました。最終的には、鉄くんが15匹で、剛さんは12匹だったので、1人だけ負け組に入らずに済みました。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

貸し竿で冬タチ15匹を釣った長野鉄くん

自称「ベテラン」の釣り人としての威厳を示せなかった剛さんと私は2人で苦笑い。まあ、こんな日もありますね。

冬タチは大きいので、10匹でもずっしりとした重さに。親子の釣果を一緒に入れた長野さんの大きなクーラーは満タンの状態に。3人とも納得の釣行となりました。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

長野さん親子の大きなクーラーは満タンに

さばくのは楽 天ぷらも炙りも美味

タチウオはさばくのが楽なことも魅力の一つです。うろこを落とす必要がなく、身が薄いので、包丁を横に滑らせて3枚におろす「大名おろし」も簡単です。わが家では、梅しそ巻きの天ぷらにするのが定番。3枚におろした身に、チューブ入りの梅肉を塗って、細長く切ったシソを置いてから、くるりと巻くだけ。あとはつまようじを刺して揚げれば完成です。タチウオの身はふわっふわ。それにほんのりと梅肉の酸味が効いて、いつ食べてもうまい!

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

タチウオの梅しそ巻き。この後、衣をつけて天ぷらに

脂がのった冬タチは、薄く切って炙(あぶ)りにするのもおすすめです。ポン酢をつければ、くせがない身のうまさと、皮目の香ばしさが口のなかで合わさって、何切れでも食べられます。

冬のタチウオ、ベテラン2人が初心者に敗退 東京湾・猿島沖

タチウオの炙り。冬のタチウオは脂がのっている

食べきれなかったら、後日、塩焼きやかば焼きにするのもおすすめ。釣って良し、食べて良しのタチウオ。次こそは、ベテランとしての腕の差を見せつけられるように、こっそりと練習しておきたいと思います。

船宿「吉野屋」
https://www.funayado-yoshinoya.com/

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PROFILE

  • 釣り大好きライター陣

    安田明彦、猪俣博史、西田健作、石田知之、木村俊一

  • 西田健作

    朝日新聞記者
    1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。15年ほど前に千葉県浦安市に引っ越し、ディズニーランドのすぐ近くで魚が釣れることを知り、釣りにはまる。朝日新聞社では文化くらし報道部で美術担当、映画担当などを務め、現在は同部次長(デスク)。外に出られない平日のモヤモヤから、ますます週末の釣りにのめり込んでいる。

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