
安易な前例の踏襲や担当者の勘頼みではなく、データなどの客観的な根拠に基づく政策を進められないか。限られた財源を無駄なく効率的に使う狙いで、国や自治体が取り組み始めた。先進例として知られる葉山町を紹介する。
◆「足掛け3年」
天皇、皇后両陛下や皇族方が静養される葉山御用邸のある葉山町。日本のヨット発祥の地とされ、若者らの人気スポットでもあるが、悩みの種が「放置ごみ」だった。行政と住民が協力して対策を実施し、削減することができた。
「足掛け3年かかりました」と町の政策課の大前正嗣係長は振り返る。発端は平成26年度、「資源ステーション」を町内475カ所に設置して、資源ごみを一般のごみと区別する方式に変更したことだった。
紙や布、ペットボトルなど再利用できる資源ごみは、燃えるごみや有料の粗大ごみと線引きが難しく、対象外の廃棄が絶えなかった。「不法投棄は犯罪です」の看板も効果が上がらない。
そこで町は27年11月から約3割のステーションで住民と現状を徹底調査。悪意あるポイ捨ては16%で時間後のごみの後出しは15%、残りは分別や場所の単純な間違いで、これが予想外に多かった。
地域ごとの特色など内容を分析し、具体的な対策を検討。28年5月から約3割のステーションで(1)チラシ(分別や収集日など明示)のポスティング(2)収集終了の看板設置(3)何もせず-に分けて実験した。チラシの効果はあったが、しばらくして元通りに。看板は15%削減でき、しかも長続きした。
◆住民との協働
結果を踏まえ、後出しを防ぐことに主眼を置いて「収集終了」の看板を全ステーションに設置し、29年度に予算(225万円)を執行した。町内会は独自にポスターを作製。ちなみに住民の協力があったため、当初の調査、実験はほとんど税金を使わずに済んだ。
効果はすぐに表れて不法投棄が減り、ごみの排出量に対する資源化の割合(リサイクル率)は、26~28年の43%前後から30年は約50%に上がった。
調査や実験を矢継ぎ早に提案する行政に対して当初、町内会は反発したが、意思疎通を重ねる中で信頼関係が生まれた。これまで政策を進める際にデータを示すことはあっても、行政側が作成したものは必ずしも信頼されなかったという。
大前係長は「協働で進められたことで、住民の皆さんに自分ごととして問題をとらえてもらうことができた」と指摘。環境課の雨宮健治課長補佐は「調査により原因が分かり、『投与すべき薬』も分かった」と語る。
調査、実験に携わった町内会長の一人、伊藤正勝さんは「何でも行政にお願いするのではなく、自分たちでできることはやってみることが大事だ」と強調する。
◆政策の質高め
客観データなど証拠に基づいた政策形成は、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)と呼ばれ、政府の行政改革推進本部が中心となって推進し、省庁、自治体を後押ししている。
限られた予算を有効に使うことが迫られていることが背景にあり、米国や英国など海外で先行。日本もようやく本腰を入れ始めた。
葉山町のように具体策を決めるため条件を変えて結果を比較した実験は、治療法や薬の研究開発などで見られる「ランダム化比較試験(RCT)」と呼ばれ、根拠を集める手だてとして活用される。
行政と予算に詳しい富士通総研の中村圭シニアコンサルタントによると、国内の自治体で社会実験を実施し、その結果を根拠に政策を実行する実例はまだまだ少ない。
行政が政策を実施するに当たっては、これまでは市民らから出された要望について議員を含めて利害調整を進めることに比重が置かれ、政策効果の検証までには至らない面があったといえる。
前例や慣行を踏襲したり、近隣や同じ規模の自治体にヒアリングし、類似例をたぐり寄せたりすることが多いようだ。しかし、財源に限りがある状況では、政策の質を高めることが求められる。
中村氏は「根拠の重要性を市民ら関係者に認識してもらいながら政策効果の検証を進めることで、政策の質は高まってくる。今後はより多くの自治体、幅広い分野で、データ、客観的な根拠に基づく政策が実施されることが期待される」としている。
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【用語解説】ランダム化比較試験(RCT)
研究の対象(治療法の場合は対象者)をランダムに2つのグループに分け(ランダム化)、一方には評価しようとしている治療などのための介入を行い(介入群)、もう片方には介入群と異なる治療(例えば従来から行われている治療)などを行う(対照群)。無作為化比較試験ともいう。
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March 23, 2020 at 03:07PM
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慣行よりデータ重視 葉山町の挑戦 放置ごみで効果 財源を有効活用 - 産経ニュース
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